アラスカと国境を接するユーコン準州にカナダ最高峰の山がある。ユネスコの世界遺産に登録されているクルアニ国立公園内にその堂々と腰を据えたような山がマウントローガン(5959m)。この山はホワイトホースやヘインズジャンクションからは見る事が出来ない。今回はクルアニ国立公園近くの小さなエアポートからセスナで氷河に降り立ち氷河の上でキャンプをしながらマウントローガンを楽しむ事にした。
5人乗りのセスナに乗り込み砂利の滑走路を走る。タイヤの下にソリが装着されている所が愉快だ。どんな世界が待っているのだろうかと考えるとワクワクする。
風景は見る見るうちに草原地帯から山の谷間に入っていく。眼下には山から氷河が溢れ出した溶岩のように見事なS字を描きながら流れて行く。離陸から約40分、遠くには始めて目にするマウントローガンの姿があった。
降り立った氷河の上は当然だが純白の白だった。まったく汚れもない何万年前の氷河と共にカナダ最高峰のマウントローガンを見れるのはこの上なく幸せな気分に浸れる。ここには機械の音が存在しない。車の音、電話のなる音、冷蔵庫のモーター音・・・・・・。機械の音が当たり前の世界で生活していた我々現代人にとっては不思議な世界だ。
さて、我々の生活は、かまぼこ型のテントで就寝、食事、団欒を楽しむ。テント内にはコンロや暖房設備が整っており快適に過ごす事ができる。メインテントは70㎡はあるだろうか?
料理は皆で協力して作る事もできる。(学生時代の部活のノリを思い出す。)うどんやそばを持ち込んで氷河の上で夜鳴きそばを楽しむ。日本人はどこまで行っても日本食が好きな人種だ。。この地で食すうどんは格別だ!
昼間のアクティビティは、ぱっくり口の開いたクレバスへ実際にロープを使い降りる事もできる。またスノーシュを履いて氷原の上を歩く事もできたりと様々な非日常体験を手軽に体験する事ができる。
安全の為にロープで人と人とを繋ぎ合わせて万が一の時に備える事も、この地ならでは。。。
緯度が高いので運がよければ氷河の上でオーロラを見る事もできる。
翌朝には日の出とともに朝日を浴び、昨日までとは一味異なる姿を見せてくれるマウントローガン。
本来であれば、このような地に踏み入れる為にはバックパックで険しい道と過酷な日程で辿り着く場所であるが、今回ご紹介しましたプランはセスナで50分という時間で素人が安全に容易に参加できる秘境地である。忙しい現代社会からほんの一瞬、ひと時を隔離された場所へ行きたい方にはお薦めの場所である。
出口 信