航空会社の戦略(1)日系キャリアに千載一遇のチャンス到来 (2/3)

主要ターゲットはビジネス需要、地方需要で仁川との競争にも自信

101102_haneda_03.jpg 両社とも、ホノルル線を除くすべての路線で、主要ターゲットをビジネス需要と想定している。JLの越智氏は「首都圏のビジネスが主なターゲット。次にレジャーという順番になるだろう」と語り、「近距離になればなるほど、時間を有効に使いたいビジネス客には羽田の利便性を感じてもらえるだろう」と期待する。また、NHの津田氏も「昼間時間帯の便については、羽田は明らかにビジネス客が中心」と予測する一方、深夜早朝時間帯の便のビジネス需要については、「アンケートをとったところ、成田の昼間便への支持と意見は二分している」という。

 とはいうものの、「ビジネス需要だけで座席を埋めることはできない」(NH津田氏)とJLとNHともに認識している。ビジネス客同様に、羽田路線の開設はレジャー客にとっても選択肢が増える。「例えば首都圏在住者であれば、深夜早朝便を利用することで仕事帰りに長距離の海外デスティネーションに飛ぶことも可能になる。それは成田便では実現できなかったことだ」(JL越智氏)と話す。

 新しいレジャー需要を創出するうえで、両社とも注目しているのが地方需要の取り込みだ。NH津田氏は「国内 39路線のネットワークを使って地方発の需要を取り込める」と意欲的。アジア近距離路線の場合、朝8時、9時台羽田発のソウル便、香港便、北京便への接続は難しいものの、10時以降の出発であれば、接続可能な国内路線も多くなる。さらに、深夜早朝便ではあればその可能性は大きく広がる。「新たな投資をせずに、ビジネス拡大をねらえるのは大きい」(NH津田氏)。

 当然、JLの場合も同様だ。特にパリ便やサンフランシスコ便は今までにない時間帯。多くの地方路線との接続も可能なため、地方のレジャー需要の受け皿になりえる。加えて、JLの越智氏は「政府の方針に沿うかたちで、インバウンド需要も取り込みたい」と、訪日外国人旅客の獲得にも力を入れていく姿勢を示す。

 地方路線と国際路線を結ぶ本格的なハブ空港をめざす羽田にとって、意識するのはやはり、韓国の仁川空港の存在だ。NHの津田氏は「価格の面からすると、韓国の航空会社と競争は厳しいところがある」と打ち明けるも、「仁川にデイリーで飛んでいない地方空港もある。一方、羽田への国内線は1日何便もある。選択肢は地方と羽田を結ぶ路線の方がはるかに多い」とメリットを強調する。状況はJLも同じだ。