航空会社の戦略(1)日系キャリアに千載一遇のチャンス到来 (3/3)
公示運賃は羽田が若干高め、成田との需給調整も必要か
消費者も旅行会社も気になるのが羽田便の運賃設定。NHの場合は「同じ路線では、成田便と比べて羽田便の方を若干高く設定している。従来の値付けと同じ感覚でやっている」と津田氏。羽田の利便性を価値と捉え、またイールドの高いビジネス客を見込んだ運賃設定している。一方、JLの越智氏は「路線によって、羽田と成田の運賃を分けることもあるだろう。例えば、近距離については運賃が分かれやすくなるのではないか」と発言するにとどめた。
運賃の差も含め、成田便と羽田便との競合あるいはすみ分けも気になる点だ。JLの越智氏は「競合路線については、羽田を飛ばすなら、成田の減便、あるいは機材のダウンサイズで、首都圏の路線として両方の供給をうまく調整していきたい。羽田と成田を使い分けてもらえる環境を整えるのが大切」と語る。一方、 NHの津田氏は、「まだ羽田は本格的な国際化になっていないので、成田への明確な影響は出ていない」としたうえで、「ビジネスで時間を重視する旅客は羽田に移ってくるのだろう。そのときは、成田の需給調整や機材変更が必要になるか、あるいはインバウンドの需要で座席を埋めていくことになるのだろう」と見通す。
両社とも、成田路線と同様に、羽田路線でもアライアンスパートナーや外航他社とコードシェア提携を結ぶともに、就航地以遠のネットワークも拡大している。今後羽田の国際路線が拡大するにつれて、羽田での際際乗り継ぎ機会も増えていく可能性がある。特に米国路線に関しては、NHのスターアライアンス、JLのワンワールドとも独占禁止法の適用免除(ATI)を念頭に置いた、戦略が進められていくと予想される。成田の発着枠も拡大していくなか、日系2社の首都圏発のネットワーク戦略はどう進むのか。今後の羽田の需要動向がひとつの指針になる。
取材:山田友樹