旅行会社の戦略(1)羽田便の特性をいかした商品造成に創意工夫 (3/4)
おおむね順調な予約状況、方面によっては想定以上の結果も
さて、業界内では活気づく羽田国際化だが、肝心の予約状況はどうなのだろうか。取材時点(9月下旬)では、各社ともおおむね想定の範囲内で推移しているようだ。各社ともメディアでの露出が増えるのに呼応して、予約も増加している。特に、人気の方面はハワイ。近畿日本ツーリスト(KNT)海外仕入商品企画事業部営業管理課長の山内幸樹氏は、「他の方面は想定の範囲内だが、ハワイが思っていた以上に伸びている」と語り、そのマーケットについては「ほぼ首都圏需要。東京と神奈川で7、8割を占めている」と明かす。
また、ANAセールス海外商品造成部業務推進グループ・グループリーダーの篠塚昌明氏は、「当初、ハワイ需要については、首都圏8割に対して地方は2割と想定していたが、ふたを開けてみると、現時点でほぼ互角の需要になっている」と驚きを隠さない。その地方需要の中心は西日本。「関西マーケットでは機材の小型化や減便などによって生産量が落ちているので、座席が取りにくいと聞いている。そのために結果的に東京に流れてきているのではないか」と篠塚氏は分析する。さらに、バンコクやシンガポールについても、当初首都圏6割に対して地方 4割と想定していたものの、地方需要が1割ほど上回っているのが現状だといい(取材日9月29日)、NH国内線をうまく活用できているようだ。
また、同じ航空系旅行会社であるジャルパックのマーケティング戦略部マーケティンググループ・マネージャーの奈良部貴氏はハワイ商品について、「JL便の供給量が減っているなかでも、成田と羽田の合算で予約数は前年同期比で100%を超えている。そのうち羽田商品が30%を下支えしている」という。同社では、8月中旬からJALパックスペシャルとして羽田商品を別冊パンレットで発売しはじめてから、反応がよくなってきた。ハワイだけではなく、「成田発を含めたヨーロッパ商品全体で見た場合、羽田発のパリ便だけで全体の35%ほどを下支えしている」という好調ぶりだ。