航空券ホールセラーから見る需要動向(1)レジャー取込に手応え(1/3)
昨年10月末に本格的に国際化された羽田空港。路線、便数ともまだ少ないが、消費者の関心は高く、航空業界や旅行業界から需要拡大の起爆剤として大きな期待が寄せられている。約3ヶ月がたった現在、需要の動向はどう推移しているのか。また、見えてきた課題について、今回は航空券を販売するホールセラーの話から探る。
>羽田国際化の需要効果はまだ限定的
>人気の昼間アジア線とシンガポール線
>業務渡航の利用増は不透明
羽田国際化の需要効果はまだ限定的
羽田空港の国際化はメディアでも大きく取り上げられ、世間の注目も高まった。では、実際に海外旅行市場に与えたインパクトは現在までのところどの程度なのだろうか。オーバーシーズトラベル(OTA)第一営業部販売課課長の奥泉敦仁氏は、「羽田国際化がなければ、ここまで需要の回復は早くなかったのではないか」と話す。しかし、供給量の増加に集客の増加は追いついておらず、需給のミスマッチで航空会社は価格帯を下げざるを得なったため、「昨年と比較すると、集客は回復しているものの、売上的には予想を下回っているのではないか」と分析する。
また、エヌティーエス(NTS)航空営業部次長の篠原和儀氏は、航空券ホールセールの立場から、「正直なところ、全体の需要が増しているという実感はない。現状はまだ限定的。昼間の時間帯にロングの路線が就航するようになれば、状況は変わるだろう」との認識だ。クロノス・インターナショナル営業部販売課販売推進チーム係長の加本謙吾氏も、世間の注目は集めているとしつつ、具体的な国際線の中身については「まだ認知度が足りない」と見ている。
同じく、チャイナエアライン(CI)の航空券を扱っているダイナスティーホリデーも、「現在のところ、羽田国際化によって新しい市場の形成や需要の拡大につながったという実感はない」という。各社の反応からすると、羽田国際化が海外旅行需要の起爆剤までにはなっていないようだ。