旅行会社の戦略(2)地方需要の取り込み、課題への模索続く (1/2)

101026_haneda_01.jpg 各旅行会社とも羽田商品化にあたっては初めての試みの部分も多く、手探りという状態にあるのも事実だ。羽田国際線の便数がまだ限定的ななか、どれだけの需要が見込めるのか。首都圏のみならず地方の需要も含めて、羽田国際化が海外旅行市場の活性化にどれほど貢献しうるものなのか。旅行会社の模索が続いている。



発着時間によって地方発羽田商品に限界も

 羽田国際化における大きな目論見のひとつは、羽田の国内線を利用した地方需要の取り込みだ。方面によっては想定以上の地方需要の取り込みに成功しているというANAセールスの実績とは異なる意見も多い。

 阪急交通社東日本営業本部メディア営業三部長の新井富雄氏は「ホノルルなど、羽田到着が夜の10時過ぎになってしまうので、地方の旅行者は後泊しなければならならず、羽田の利便性は薄れてしまうのではないか。現段階での羽田国際化が地方を活性化させるのか疑問だ」と語る。また、日本旅行・営業企画本部海外旅行事業部マーケティングチームマネージャーの七海聡子氏は「羽田商品の申込者は圧倒的には神奈川が多く、想定通りだと思う。地方からすると、成田からの国際線と比較した場合、羽田の利便性をそれほど感じてないのでは」と、現時点での地方需要取り込みには懐疑的だ。

101026_haneda_02.jpg 地方の旅行会社の意見はさらにシビアだ。福岡の西鉄旅行専務取締役・営業企画本部長の横山達夫氏は、9月に開催されたJATA国際観光会議のシンポジウム「地方のアウトバウンド市場を如何に活性化させるか?」のなかで、「ホノルル線は九州からの旅客の場合、後泊が追加になる。募集型企画旅行は羽田発着のツアーに、別の案内として国内企画の宿泊パッケージをつけざるを得ない。残念ながら、勝負できる競争力のある商品ではない」と述べ、地方発羽田商品の限界を示した。

 大手旅行会社ではアドオンの設定、前後泊プラン、JRとの組みあわせなどで地方需要の取り込みをはかるが、手探り状態が続いているのが現状。「成田との比較において、羽田がメリットになるのかどうかもう少し分析する必要がある」(JTBワールドバケーションズ常務取締役の八木澤昌弘氏)というのが旅行会社の本音のようだ。