航空会社の戦略(2)外航、深夜早朝発着で未知のビジネスに挑む (1/4)
部分的な国際化とはいえ、羽田空港への国際線展開は外国航空会社にとっても大きなビジネスチャンスであることは間違いない。しかし一方で、長距離路線で新規開設する外航にとっては、従来の成田路線にはない深夜早朝時間帯の発着という運航条件から、未知の部分が多いのも事実だ。就航地の違いによって戦略やターゲットも異なり、2013年の発着枠拡大に向けた思惑も見え隠れする。外航各社は日系航空会社とは異なるチャレンジに挑もうとしている。
>米系2社はビジネス需要に期待
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米系2社はビジネス需要に期待
新たに羽田への就航をはじめた、あるいは就航を決めている外国航空会社は、従来から定期チャーター便を運航している航空会社を除くと、合計11社。北米路線がアメリカン航空(AA)、デルタ航空(DL)、エア・カナダ(AC)、欧州路線がブリティッシュ・エアウェイズ(BA)、アジア路線がシンガポール航空(SQ)、タイ国際航空(TG)、チャイナエアライン(CI)、エバー航空(BR)、マレーシア航空(MH)、エア・アジアX(D7)、そしてホノルル線にハワイアン航空(HA)が就航する。台北便以外は、深夜早朝時間帯の発着だ。このほか、香港航空(HX)が2011年1月からの就航を希望しており、実現すれば深夜早朝枠での香港線も加わることになる。
北米路線を開設する3社は、来年1月末から2月にかけて運航を開始する。首都圏発着の路線ながら深夜早朝時間帯ということもあり、成田とは異なる新しい市場が生まれると各社とも期待は大きい。ニューヨーク線に就航するAAの日本地区旅客営業本部長・稲場則夫氏は「大都市間を結ぶポイント・トゥ・ポイント路線はそもそも需要が高い」と語り、ターゲットを「東京、神奈川など首都圏のビジネス需要」と見込む。また、デトロイト便とロサンゼルス便の運航を開始するDLの日本地区営業本部長・伊藤正彰氏も「発着時間やアクセスの面で課題は残るが、羽田便に興味を持っている企業は多い」とビジネス需要に手応えを感じている様子だ。日系企業では、深夜早朝便の利用について労務規定がネックになるという指摘もあるが、DLの伊藤氏は「飛びはじめてから決めるという声も多く聞く」と明かし、今後の動向を注視していく姿勢を示す。
羽田便の機材については、AAは成田便と同様にボーイングB777-200ER型機を投入する。ビジネス需要を見込み、Fクラス16席、Cクラス37席を含む 247席。一方、DLは両路線ともCクラス65席を含む407席のB747-400型機を使用する。両社とも、成田便の減便や機材変更はなく、羽田便が純増になるかたちだ。