航空券ホールセラーから見る需要動向(2)地方需要取込へ施策 (2/3)
キャンペーンで需要喚起と認知度向上
いずれにせよ、各社にとって羽田国際化は近年にない大きなビジネスチャンスには違いなく、キャンペーンや発券システムの向上などで需要喚起の取り組みを進めている。ダイナスティーホリデーでは、ビジネスクラス航空券の一部で地域制限はあるもののタクシークーポンを、ビジネスクラスあるいはエコノミークラス航空券の一部でパーキングチケットを供与している。いずれ早朝チャイナエアライン(CI)の早朝CI223便利用者の居住エリアを広げるのが目的だ。
クロノスでは、シンガポール航空(SQ)の早朝SQ635便を対象に2010年下期キャンペーンとして、東京23区から羽田空港までのタクシー代、羽田空港駐車場、東横インでの羽田前泊でサポートを行なっている。また、「アメリカン航空(AA)が飛び始めれば、現在のキャンペーンを検証して、新たなキャンペーンを考えていきたい」と意欲的だ。OTAも同じくSQの早朝便で東横インでの前泊無料サービスを提供。また、SQが実施している地方からの団体向けバス代のサポートにも協力している。
一方、NTSでは、昨年1月から開始した発券システム「クリックチケット」に期待をかける。旅行会社が自社で作成したPNRを持ち込み発券できるように改良しており、2月下旬には本格稼働する。篠原氏は、「クリックチケットは24時間発券可能。羽田深夜便での急な出張でも対応ができ、インターネット環境があれば簡単に導入できるため、地方の小さなエージェントにも有効」と話す。システムの使い勝手の改善は羽田便の予約でも効果はありそうだ。このほか、NTSでは、欧米便の就航に合わせて、タクシーチケットや荷物の宅配サポートなどのサービスについて、航空会社側に提案。航空会社も予算的に厳しい側面はあるが、需要喚起に向けたキャンペーンを検討しているところだ。