航空会社の戦略(2)外航、深夜早朝発着で未知のビジネスに挑む (3/4)

アジア系航空会社-「羽田はまったく新しい市場」

101109_haneda_04.jpg アジア路線では、首都圏からのバンコク線とシンガポール線、そしてマレーシアの2都市で供給が増えることになる。TG東日本地区旅客営業部部長の杉岡茂則氏は「タイではデモなど問題はあったが、日本人渡航者数は年間100万人以上。タイ人の日本への旅行者も増えている」と語り、高需要路線であることを強調。「羽田は場所も発着時間も成田とは違う。まったく別のビジネス」という考えだ。同社は羽田線でバンコク/ニューヨーク線と同じCクラス60席、Yクラス155席のエアバスA340-500型機を使用する。

 SQ日本支社長のキャンベル・ウィルソン氏も8月に実施した弊紙のインタビューで、「羽田はまったく新しい市場」と位置づけ、「(成田便も含めて)東京発着の便数は増えたが、現地の新しい滞在方法、乗り継ぎ利便性の向上など、増加分を埋めるだけのメリットはある」と供給増にも自信を示した。機材はFクラス8席、Cクラス42席を含む合計278席のB777-300ER型機を投入。ビジネス客の需要にも期待するコンフィギュレーションにしている。

 需要動向について、TGの杉岡氏は「ビジネス需要は限られる」と分析。「企業などへのヒアリングによると、夜中の移動は極力しないという声が多い」と明かし、労務規定が絡む深夜早朝発着の問題点を指摘する。タイは日本人に人気の観光デスティネーションでもあることから「ほとんどレジャーになるのではないか」と予測し、「羽田便はバンコク発が午後2時50分で、午前中をゆっくりと過ごせる」とレジャーでのメリットもアピールする。

 SQのウィルソン氏も羽田便の特徴について、「早朝便はシンガポールに午前中に着き、半日を観光に使うことができるため、パッケージツアー客にも適したスケジュール。また、深夜便は仕事を終えてから空港に向かい、寝ている間にシンガポールへ飛ぶことができる」と成田便との違いを強調。シンガポールでの東南アジア路線への乗り継ぎのよさに触れ、より幅の広い商品化に期待を寄せる。