大交流時代へ-成長戦略から見る首都圏空港の将来像(2/3)

成田空港、首都圏空港として羽田空港と共存

101005_haneda_03.jpg  一方、成田空港の容量拡大も首都圏空港の強化において欠かせない取り組みだ。今年3月には、第2滑走路の伸張が完了したことで、年間発着枠が20万回から 22万回に拡大。これにともない、エミレーツ航空(EK)、エティハド航空(EY)、カタール航空(QR)、マカオ航空(NX)が新規参入。成田発着のネットワークがさらに広がり、新しい旅行商品の展開も可能となった。

 今後、地元との合意を条件に2011年度中に25万回、2012年度中に27万回、そして2014年度中には30万回に発着枠を拡大していく方針だ。これにより、首都圏空港全体の容量は現在の約52万回から2014年度までには約75万回と4割以上の増加が見込まれ、そのうち国際線発着枠は約20万回から約40万回に倍増。新成長戦略では、おおむね向こう10年間の需要を上回る供給量になると試算している。

 ただ、成田空港には課題も多い。発着枠の増加にあわせて国際航空ネットワークを強化しつつも、ハブ空港としての機能を考えた場合、国内フィーダー路線の拡充も不可欠となってくる。また、首都圏空港として羽田空港との一体的な運用が求められているが、羽田空港の国際化がますます進み、ハブ機能が強化されていくなかで、成田空港の存在意義も変容していかざるを得ない。その点について、成長戦略では、成田空港について「LCCの本格的な参入促進をはかるために専用ターミナルを整備し、低コストオペレーションが可能となる環境を整える」と明記。さらに、ビジネスジェットの乗り入れにも柔軟に対応していく方向性が示されている。

 さらに、羽田・成田の一体的活用においては、地上交通インフラのさらなる整備も求められているところだ。羽田空港を24時間国際空港として活用していくためには、深夜早朝でのアクセスの改善が必要となり、また一方、一体的活用を実現していくためには両空港間のアクセスの利便性も高めていく必要がある。成長戦略ではアクセス改善について、都心から羽田空港へは20分台、成田空港へは30分台、両空港間は50分台の実現をめざすと野心的な目標を立てている。