大交流時代へ-成長戦略から見る首都圏空港の将来像(3/3)

完全オープンスカイでハブ空港の競争激化必至

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 首都圏空港の発着容量不足が解消されると見込まれることから、成長戦略では、首都圏空港も含めた完全オープンスカイに向けた取り組みにも言及している。現在のところ、オープンスカイに合意している国・地域は、韓国、香港、マカオ、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、スリランカ、米国、カナダ。しかし、新規増枠分を圧倒的に上回る増便要望があったため、成田空港と羽田空港はオープンスカイ対象外で相手国を経由して第三国への輸送をする以遠権も対象とはなっておらず、限定的なオープンスカイにとどまっているのが現状だ。

 首都圏空港もオープンスカイの対象に加わることになれば、競争が担保され、恣意的な行政介入の余地がなくなり、一定の市場メカニズムのなかで利用者の利便性が向上されていく。一方で、成長戦略で言及されているように、オープンスカイのもと民間の活力を可能な限りいかしていくことになると、アジアにおけるハブ空港の覇権争いがますます激しくなると予想され、今後はアジアを視野に入れた対応が求められてくる。

■ 仁川空港も拡張プロジェクト、さらにハブ機能強化へ

 成田・羽田にとって、今後も最大のライバルと目されるのがソウルの仁川国際空港だ。現在でも、仁川空港と日本の地方空港を結ぶ路線が多く、そうした地方空港では仁川空港が世界へのゲートウェイになっているは周知の事実だ。

 現在、仁川空港も着々と拡張プロジェクトを推進している。2008年6月には拡張プロジェクト第2フェーズが完了。第3滑走路がオープンしたことで、年間発着容量は24万回から41万回に拡大、年間旅客処理能力も3000万人から4400万人まで増強された。加えて、空港施設の効率化も進めたことで、最小乗り継ぎ時間(MCT)は45分にまで短縮された。

 さらに、昨年からは第3フェーズの拡張プロジェクトがスタート。2015年までで4兆ウォンを投じる大規模なプロジェクトで、第2旅客ターミナルの建設、貨物ターミナル、エプロンなど既存施設が拡張される。このフェーズが完了すれば、年間旅客処理能力は4400万人から6200万人に拡大する見込みだ。

 仁川国際空港公社によると、戦略的な拡張プロジェクトを進めるとともに、主要マーケットである中国、日本、アメリカからの旅客をさらに増やし、LCCの誘致も進めていくという。また、オープンスカイの拡大にともなって急速に拡大すると見込まれている旅客需要を取り込むことで、仁川空港のハブ機能を一層強めていく。最終的には滑走路5本、年間発着容量74万回、年間旅客処理能力1億人という壮大なプランを掲げている。「2030年には世界最高のハブ空港に」を目標に掲げている。

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取材:山田友樹