現地レポート:シンガポール、大型リゾート開業と羽田就航後の変化 (2/5)

シンガポールの新プロダクトの効果

101210gr_02.jpg 2010年、シンガポールに新たな観光スポットが誕生した。カジノを併設する大型リゾート施設の「マリーナベイサンズ」と「リゾートワールドセントーサ」である。これまでシンガポール政府は、治安の悪化や青少年への悪影響を懸念してカジノの導入を禁止していたが、今後の経済を成長させる新たな素材としてカジノの合法化に踏み切り、新プロダクトの誕生に至ったという。

 同リゾート施設のオープン以降、シンガポールは2010年9月現在で全世界からの訪問者数が前年比21.8%増、日本からも4.8%増と好調に推移している(シンガポール政府観光局統計資料)。さらに先日、ジェイティービーが発表した2010年の年末年始の旅行動向調査でも、シンガポールは前年比28.6%増の約1万8000人と大幅な増加が予想されており、同調査では「羽田空港の国際化によって座席供給の増えるアジア方面や、ヨーロッパ方面を中心に増加が見込まれる」と、羽田線が好影響となっていることを示唆している。

 羽田/シンガポール線はフライトスケジュールが深夜早朝枠での運航になり、日系2社は往路、復路とも深夜発、早朝着の便を運航。 SQはこれに加え、羽田早朝発、シンガポール午後着、シンガポール午後発、羽田深夜着の1日2便を運航している。このバラエティを使えば、フライト時間が 6時間の中距離デスティネーションであっても金曜日の仕事後に出発し、日曜日の夜到着や月曜日の朝に帰着して出社するという、休暇なしでの週末旅行も可能だ。すでに、こうした旅程でアーリーチェックインやレイトチェックアウトを盛り込んだツアーも販売されている。多少、体を酷使しても、短期間で旅行を楽しみたいという需要にはぴったりの旅程であり、羽田便就航で新しい客層を取り込むチャンスが拡充している。