マウイ島在住者が提案する、自然に親しむ旅行
マウイ島の大自然、思い出に残る旅行を提案
~ビギナーからリピーター、夏休みの家族旅行にもおすすめ~
ハワイを旅先に選ぶ理由のひとつに、自然の豊かさがあげられる。海や山でアウトドアやスポーツを楽しむのが目的でなくても、爽やかな青空と目の前に広がる海、心地のよい風に揺れる椰子の木や色鮮やかな花々など、さまざまな形で自然を身近に感じることができるからだ。この自然との距離の近さが、ハワイの魅力の根底にある。なかでもマウイ島は、観光客からプロサーファーまでを満足させる海と頂上までのドライブが可能な3000メートル級の山、ハレアカラをたずさえる変化に富んだ自然が体験できる島。今回はそんなマウイの自然の魅力を楽しむ旅行を、日常的に触れる現地在住者が「ホップ」「ステップ」「ジャンプ」と、熟練の度合いを追って紹介していきたい。夏休みの家族旅行にもおすすめだ。
「ホップ」-お手軽編
大自然から生まれたハワイの文化をホテルで体験
自然を堪能することは、ハワイを堪能することでもある。でも、自然を楽しむといっても、「どうやって」「まずはどこから」と戸惑う人も多いだろう。そんなときに活用したいのが、ホテルのプログラムだ。マウイ島では数多くのホテルがフラを学ぶ体験や、花や葉、実などを糸でつないで作るレイのクラスなど、子どもから大人まで楽しめる体験プログラムを各種用意している。大自然の美しさを雄弁に語るフラ、レイ、ハワイアン・ミュージックなどは、ハワイの自然と親しむ第一歩としてビギナーにおすすめしたい。フラの踊りのなかにある物語、身につけるレイの意味を学ぶことによって、その文化を育んだ大自然をより身近に感じることができる。自然を楽しむコツは、このような学びから得ることができるものだ。
なかでも、充実した体験プログラムを実施しているのがカアナパリ・ビーチにあるカアナパリ・ビーチ・ホテルで、曜日ごとに異なる体験プログラムを1日中、数種類も開催している。ホテル内のカルチュラル・ガーデンで実施するガーデンツアーに参加すると、ハワイの人々のソウルフードであるタロイモ、実のなかの油分を灯りの燃料として活用していたククイ、トロピカルフルーツの代表格であるバナナやパパイヤ、ハワイの薬草として注目されているノニなどの植物を、ハワイの文化や歴史と結びつけながら教えてくれる。このほかにも伝説や昔話を聞くクラスや、数種類のレイの作り方を学ぶレイ・メイキング、ハラという木の葉を利用してオリジナルの敷物を編むラウハラ編みのクラスなど、プログラムの幅広さに驚かされる。
「私たちの役目は、お客様にハワイの自然と文化を伝えること。目の前の海や見上げる山が、ハワイの島々ではどのような意味をもっているのか。それを様々な方法で伝えることが大切であると信じている。滞在を学びとともに楽しんでいただき、お客様一人ひとりが私たち従業員を通じて、自然豊かなハワイという土地や人々との触れあいを感じ、思い出にしてほしい」と、同リゾートのジェネラル・マネージャーのマイク・ホワイト氏は語る。ホテルでの滞在とともに自然を堪能できると、旅は充実度を増してくる。マウイ島でこのような独自のプログラムをもつホテルは、カアナパリ・ビーチ・ホテルと、ハナにあるホテル・ハナ・マウイが代表格といえるだろう。
「ステップ」-中級編
島のなかでの日帰り旅行、ハイキング&ピクニック
マウイ島の自然の特徴は、東は3055メートルのハレアカラ、西は1764メートルのマウナ・カ・ハラヴァイ(通称:マウイ・ウェスト・マウンテン)、という2つの山によって形成されていることにある。一年中穏やかな気候を保ち、心地よい風の吹くこの島の自然を楽しむには、ハイキングやピクニックが最適。自分の足で歩いてみることで、体験はもっとリアルなものに変わっていくからだ。朝早く起きてハイキングにでかけ、その途中で昼食をとり、帰路につく。ハイキングコースを歩くことでしか見ることのできない景色は、もうひとつ別の旅をしたような気分にさせるに違いない。
島のなかには国や州、マウイ郡管轄の数多くのハイキングコースがある。西側の山にある渓谷、イアオ渓谷の30分の回遊コースから、東側のハレアカラのクレーターを3日間かけて歩くコースまで幅広いが、まずは1時間や2時間の手軽なコースから挑戦するとよい。マウイ島の初級者向けコースのなかでおすすめしたいのは、島の北東部ケアナエのエリアにあるケアナエ植物園のコースと、ワイカモイ尾根回遊コースの2つだ。いずれもコースの出発点までのアクセスが比較的簡単で島の風上に位置するため、素晴らしい景色を遠くに眺めつつ風を感じながら歩くことができるコースとなっている。
ケアナエはカフルイ空港から島の北東へ、海沿いの道であるハナ・ハイウェイを1時間ほど車で走ると着くエリア。映画『ジェラシック・パーク』のロケ地にもなった自然の豊かな場所である。ケアナエ植物園のコースは色鮮やかな花々やハワイ固有の植物を楽しむことが可能。特にジンジャーは、貝がぶら下がっているような花をつけるシェル・ジンジャー、花の形が松明に似ているトーチ・ジンジャーなど十数種類が見られる。一方、ワイカモイ尾根回遊コースは尾根を歩きながら海岸線を眺めることができ、島の形が実感できるのがポイント。ここは、日当たりのよいピクニック場が最終地点なのも魅力で、小さな子どもが安心して遊べる広さがあり、屋根のついた休憩場所もあるので子ども連れの家族にも最適なコースといえる。この2つはマウイ郡が管理している一般に開放されたハイキングコースで、利用の許可申請などは特に必要ない。
マウイ島にはこのほかにも比較的簡単なコースから1日かけて踏破するコースなどもあり、ハイキングはリピーターにとっても魅力の尽きない旅のプランといえるだろう。
「ジャンプ」-上級編
「遊ぶ、眠る、食べる」をマウイの大自然のなかで体験
ホップ、ステップの次は「ジャンプ!」として、大自然のなかに溶け込むキャンプ体験を紹介したい。マウイ島にはキャンプが許可されている場所が数箇所あるが、州立のキャンプ場でキャビンと呼ばれる宿泊施設があるのは、ハレアカラの中腹にあるポリポリ・スプリング州立公園と、ハナのワイアナパナパ州立公園。テントを準備しなくてもキャンプが可能だ。もちろん、テントを張ってキャンプをする場所や共同の水道とトイレなどがある。利用の際は州の公園管理事務所に許可を申請しなくてはならないが、キャビンの利用料(1棟1泊45米ドルで4人まで宿泊可)以外は一切無料だ。キャンプサイトでのキャンプは1泊5米ドル必要。
キャンプの計画ではまず、どんな環境で過ごしたいのかを決める。例えば、ポリポリ・スプリング州立公園はマウイ島の南側を見渡すことができる涼しい高原に位置し、ワイアナパナパ州立公園は島の北東のハナの海辺にある。山で過ごしたいのか、海で過ごしたいのかで場所を選んだら、次は宿泊。テントを設営するかキャビンを利用するのかを決める。普段からアウトドアに親しんでいる方の場合、マウイ島ではハレアカラの頂上付近以外、総じて気候には恵まれていることから、テントでのキャンプが爽快だろう。もちろん、キャビンは寝袋ひとつで宿泊することができるので、旅行者にとっては便利だ。
どちらの州立公園も園内にいくつかのハイキングコースがあるので、1日から数日かけて楽しむことも可能だ。ポリポリ・スプリング州立公園であれば、標高3000メートル級のハレアカラの山肌やマウイ島の形を3分の1ほど見ることができる眺望を十分に味わえるだろう。ワイアナパナパ州立公園には、約10キロメートルの海辺のハイキングコースがある。共用のアウトドア・キッチンもあるので、長期滞在にも向いている。州立のキャンプ場は日本人の利用はまだまだ少ないが、マウイ島のリピーターやアウトドア愛好家には活用しやすいだろうし、ぜひ旅行会社の企画や販売の人々にも「遊ぶ、眠る、食べる」の滞在を楽しむ基本を、マウイの自然に囲まれながら体験できることを知ってほしい。ハワイの大自然のなかで過ごす時間は、生涯忘れられない旅行の思い出となるはずだ。
▽カアナパリ・ビーチ・ホテル
http://kbhmaui.com/
▽州立公園の案内(マウイ観光局)
http://jp.visitmaui.com/camping.html
カアナパリ・ビーチ(マウイ島)
ハレアカラ(マウイ島)
ハナ(マウイ島)
イアオ渓谷(マウイ島)
ハワイアン・ミュージック