伝統の宴会「ルアウ」で独特の文化を楽しむ
ハワイ体験レポート:伝統の宴会「ルアウ」で独特の文化を楽しむ
~食事やクラフト、エンターテイメントでハワイらしい体験が可能~
食事は気軽に現地の文化に触れられる旅行の要素のひとつ。そんな食事を中心にしながらも、さらに一歩、奥深い体験ができるのが、伝統的なハワイ式の宴会「ルアウ」だ。すでに多くのホテルやガーデン、レストランがフラダンスやポリネシアン・ダンスを見ながら気軽に楽しめるディナーショー的なルアウを実施しているが、ここ数年で、豚一頭を丸ごと調理する伝統儀式「イム・セレモニー」の実演など、多様なプログラムを加えたルアウを提供する施設が増えており、食事としてだけでなく、オプショナル・ツアーのような活用ができるだろう。インセンティブなどの団体旅行や、他の人とは違う体験を求めるFITにも適した素材といえる。今回はパラダイス・コーブを訪れ、その様子を体験した。
客人をもてなす「歓迎」が伝わってくる
古来ハワイでは、風習として男女がともに食事をすることが禁止されていたが、その慣習を改革したのが1819年に王となったカメハメハ2世だ。この頃から子供の誕生を祝ったり、賓客を接待する会食や宴会の形式に「ルアウ」という名称が登場。当時はハワイの植物をマット代りにし、地面の上に座っての食事が原型であった。ルアウは王朝の歴史とともに発展し、後のカラカウア王の時代には王の50歳の誕生日を祝して1500人もの招待客がもてなされる華やかな祝宴が開催されたこともあるという。
さて、今回体験したパラダイス・コーブは、オアフ島の中でも晴天率が高いコオリナに4.8ヘクタール以上の敷地を有する。ワイキキの中心からホノルル空港、パール・ハーバー、ワイケレなどを過ぎ、かつてパイナップル栽培がされていた地域やワイアナエの山々、リゾート開発が進むコオリナの景色を見ながらの移動だ。パラダイス・コーブに到着しゲートへ向かうと、ハワイアン・ソングとハワイの代表的なカクテルのマイタイ、そしてダンサーによるレイ・グリーティングで迎えられる。その「アロハ」の微笑みに歓迎されているという気持ちが感じられ、うれしくなってくる。
食事の前にクラフト体験、古代ハワイのゲームも
食事がはじまるまでの約1時間30分は、パラダイス・コーブ内での様々なアクティビティやゲーム体験の時間となる。敷地はビーチに面しており、ワイキキやノースショアとは違ったコオリナの海とサンセットが見られ、参加者たちはその美しい景色を撮影することに没頭。あちらこちらではレイ・メーキング、ハク(髪飾り)やブレスレット、帽子などのクラフト作成や、フラ、ポリネシアンショーの道具を使うレッスンなどがおこなわれ、参加者は思い思いのアクティビティに参加していく。
さらに、古代ハワイの戦士が腕試しの道具に使ったという槍投げ「オオイヘ」、石の円盤ころがし「ウルマイカ」やタトゥ疑似体験、カヌー漕ぎなど、ゲーム感覚のアクティビティも実施。ミニ・ショーとしてパレオの着付けやヤシの実を割るデモンストレーションなどもあり、時間はあっという間に過ぎていく。この間も参加者は、配布されたドリンク・クーポンで、好みのソフトドリンクやカクテルを楽しめる。やがてメイン・イベントを知らせるホラ貝の音が響き、背の高いヤシの木周辺へ誘導されると「フラワー・シャワー」セレモニーがスタート。木に登った男性エンターテイナーが、ハワイの花々が振りまくと、空からの花々と芳香の歓迎に思わず声が上がる。
伝統のデモンストレーション、「フキラウ」と「イム・セレモニー」
次にビーチでは引き網漁「フキラウ」のデモンストレーションがはじまった。古来、ハワイの人々は投網・引き網で漁をしており、今でも場所によってはフキラウ漁がされている。見事な網さばきのシルエットはサンセットのビーチに映え、情緒的だ。その後は、希望者による地引き網競争もおこなわれる。ホラ貝の音とチャント(ハワイ語の詠唱)にのって、観覧側の応援も盛り上がる。
そしていよいよ、ルアウのハイライトである「イム・セレモニー」だ。古代ハワイ王朝時代の衣装をまとったエンターテイナーが、会場の半円形シアターへとエスコートする。イム・セレモニーは100キログラム以上ある豚をバナナなどの葉で包み、地面に穴を掘って作られたイム(かまど)で6時間から12時間かけて蒸し焼きにするもの。かつてはルアウでよく行なわれたが、時間と手間がかかるため、実施する施設が少なくなっている。パラダイス・コーブで実際に見るのは、イムから豚を掘り起こす場面のデモンストレーション。長時間をかけて蒸された丸焼きの豚がバナナの葉から取り出されると、なんともいえない香ばしいにおいが漂ってくる。
セレモニーの後には試食とともに、ビュッフェで振舞われる料理の説明がされる。イム・セレモニーで蒸し焼きにした柔らかい豚「カルア・ピッグ」のほか、蒸したタロイモをペースト状にした「ポイ」、塩漬けの鮭と玉ねぎ、トマトをみじん切りにして揉みあえた「ロミロミ・サーモン」、地元の魚のマカデミアナッツのクリームソース和え、中が紫色のタロイモのパン、ココナッツミルクでできたデザート「ハウピア」など、それぞれの料理とハワイの食文化を知ることができる。ビュッフェの前には全員で手を繋ぎながら、ハワイの恵みとこの場にみんなが集えたことに感謝をこめて「アロハ」と声をあげ、食事がスタート。参加者はブッフェに添えられた料理の名前を興味深く確認しながら、好みの料理を選んでいた。
メインのエンターテイメントでフィナーレ
ショーがはじまる前の夜空は、ワイキキの中心に比べて星の数々が鮮明に見える。食事も終って歓談がはじまる頃、静かなチャントとホラ貝の音色とともにメインのショー「ハワイアン・レヴュー」がはじまった。古代ハワイアンのルーツともなる各ポリネシア諸島のダンス・ショーは、どれも明るく華やかな踊りだ。そしてハワイのフラのステージがスタート。ハネムーンはもちろん、結婚記念日、バウリニューアルなどのアニバーサリーを祝う参加者に捧げる踊りの時にはカップルでダンスを楽しめるようにしたり、子供がステージで踊りに参加できるファミリー向けの趣向もあったりと、会場にいるそれぞれの参加者を沸き立たせる。
レビューのクライマックスは「ファイヤー・ナイフダンス」。こちらも古代ハワイアンのルーツの島であるサモアからもたらされたもの。熟練されたパフォーマンスに会場は真剣に見入っており、ショーが終了すると大きな拍手と歓声があがった。
現在、ルアウを体験できる場所は幾つかあり、それぞれの特性をいかした施設に人気が集まっている。パラダイス・コーブは以前、FAMツアーで訪れた日本の旅行会社から「最もハワイらしい文化体験ができた」「ビーチ、サンセット、星空を同時に満喫できる」「さまざまなアクティビティが体験できるので、ハワイの夜店のような趣向がユニークで楽しい」と、好意的な感想が多いという。敷地も広く、幅広い客層にも対応できるため、「特にインセンティブなどの団体旅行にすすめられる」との意見もあった。実際、パラダイス・コーブではこれまで、ソニーやNFLなどの大型のインセンティブを受け入れている。またFITにも、ファミリー、アニバーサリー旅行のカップルがそれぞれの絆を深めることができるハワイでの体験ができるだろう。
▽パラダイス・コーブ
所在地: 92-1089 Aliinui Drive, Kapolei, HI 96707
TEL:(808)679-0003
http://www.paradisecove.com/
※2009年の日本語パンフレットは3月に完成予定
▽その他、ルアウを提供する施設
・シーライフ・ルアウ(オアフ島)
TEL 0-800-4422-522192(日本からのフリーダイヤル)
・ポリネシアカルチャーセンター(オアフ島)
TEL (808)924-1861
・ヒルトン・ハワイアン・ビレッジ(オアフ島)
TEL (808)941-8528
・アイランドブリーズ・ルアウ(ビッグ・アイランド)
TEL (808)329-8111
・オールドラハイナルアウ(マウイ島)
TEL (808)667-1998
ハワイアンフード(全島)
ハワイアンミュージック(全島)
ワイキキ(オアフ島)