爽快気分のロードバイクツアー
ハワイ体験レポート:ロードバイクで壮大なマウイの風景を疾走
~人気上昇中のアクティビティ、ロードバイクとSUPを楽しむ~
アクティビティの宝庫ハワイでは、マリンスポーツをはじめ数々のアウトドアスポーツの楽しみには事欠かない。初めてのスポーツにチャレンジしたり、普段日本で親しんでいるスポーツをハワイで体験するなど、ビギナーから上級者まであらゆるレベルにあわせた選択肢が用意されているので、アクティビティをテーマにした旅行は年代を問わず広がりをみせている。今回は、ホノルル・センチュリーライドの参加者数が年々増加することからも分かるように、旅先のアクティビティとしても今後の拡大が期待されるロードバイクと、最新のマリンスポーツとして人気上昇中のスタンド・アップ・パドルボード(SUP)をマウイ島からレポートする。現地の新たな魅力発見にも繋がるだろう。
いつもと違う眺めが魅力のロードバイクツアー
ふだん車内からやり過ごす風景も、自転車に乗ってこそ実感できる魅力がある。そんな体験を可能にしてくれるのが、ロードバイクツアーだ。今回紹介するゴー・サイクリング・マウイのワイナリーロード・コースは、アップダウンが厳しくレベル的には中級者向けだが、マウイの壮大な高原の風景がハイライトとなっている。
ワイナリーロード・コースはクラから出発、マウイのオリジナルワインを醸造・販売している「テデスキー・ワイナリー」を過ぎ、サウスショア、モロキニ島、カホオラヴェ島を見渡せる壮観なハイウェイを風とともに駆け抜ける、走行距離約50キロの行程だ。朝8時30分、ツアーのスタート地点クラに到着。天気は快晴。今回のメンバーはツアーリーダーであり、ツアーのベースショップを経営するドニー、サブガイドとしてプロ級の脚力の持ち主クリス、そしてツアー参加者の2名は米本土から毎年やってきて参加するというデイビッドに、インターネットで同ツアーのサイトを発見したトッドという4名の構成だ。
ブリーフィング、自転車の調節の後、エナジードリンクと食事を補給したらいよいよツアーがスタート。ウォーミングアップはなだらかな上りが数キロ続く坂道で、点在する民家とともにクラ郵便局、小学校、消防署を通り過ぎていく。標高900メートルの、この辺り一帯がクラの中心地だ。坂道を上り切ると緑豊かな並木道が続き、やがてケオケアに到着する。ケオケアからワイナリーまでは、放牧地が広がるなだらかな下り坂が7キロほど続く。車の交通量も減り、リラックスした気分で駆け抜けることができる、まさに極楽気分のひとときだ。眼下にはキヘイからワイレアリゾート、その向こうに広がる紺碧の海、さらにマウイを囲む島々の風景がパノラマに展開、爽やかな風が体を包む。ロードバイクならではの爽快な体験が待っている。
風景が一変するのも高原ルートのハイライト
ロードバイクの醍醐味はこれだけでは終わらない。テデスキー・ワイナリーを過ぎて、鬱蒼とした森の中に入り、ウグイスの声が飛び交う道を抜けた途端、風景が一変する。壁のように立ちはだかる急勾配の道。その両脇はハレアカラ山からその昔流れ出した溶岩にへばりつくように生い茂った草地がどこまでも続いている。そして、このときは運悪く雨が降り出し、気温がぐんと下がってきた。これはハレアカラ山を回り込んで東側面にやってきたためで、まるでワープしたかのように天候が変わることもある。高地を走るサイクリングコースならではのユニークな体験ともいえよう。
晴れていればこの辺りから息をのむほどの景色が広がるところだが、あいにく視界が悪く風雨も強まってきたため、リーダーの判断でUターン。再び晴天のコースに戻ると、雨で濡れた体からたちまち湯気が立ちはじめる。往路は爽快な気分で下ってきた坂道を上り続け、全員難関を突破しケオケアに到着。完走にこだわりたい人もいるかもしれないが、ツアーには常にサポート車が伴走しており、ギブアップした人をいつでもピックアップできるよう待機している。特に初心者の場合、できるところまでがんばって、だめなら拾ってもらうくらいの気持ちで参加した方が気楽だろう。
「雨、風、上り坂はきつかったけど、走り終えたという満足感がいいね」と話すデイビッド。「いやー、景色が素晴らしかったよ。また、機会があったらぜひ参加したい」とトッド。3時間のロードバイクツアーは無事終了した。ゴー・サイクリング・マウイではこのほかにも、ジャングル地帯から海岸線を抜ける「ハイク~ケアナエ・コース」、3000メートル級のハレアカラ山頂をめざして、海抜0メートル地帯から一気に駆け上がる究極の「ヒル・クライム・ツアー」など、レベルにあわせたさまざまなコースがある。ツアーの料金は140米ドルからで、料金にはバイク、ヘルメット、ウェアのレンタルとサプリメント等が含まれる。
ゴー・サイクリング・マウイの日本の窓口となっているアロハバイクトリップでは、事前にリクエストがあれば日本語ガイドの手配にも対応。アロハバイクトリップによると、日本は欧米に比べてロードバイクは認知が低いスポーツだが、最近は日本でのイベントも増えており、徐々に裾野が広がっているという。マウイの新たな魅力を知るオプショナルツアーとしての紹介は十分に可能だろう。
注目のウォータースポーツ、スタンド・アップ・パドルボード
スタンド・アップ・パドルボード(SUP)といっても、まだ一般にはあまり知られていないが、最近ハワイを旅した人なら必ずどこかのビーチで見かけるほど、ハワイではポピュラーなスポーツとなりつつある。早朝にはビーチ近くで静かにパドルをこぎながら朝日を浴びている人たち、週末なら、子供たちがはしゃぎながらボードの先端に立ち、ファミリー・サーフィンを楽しんでいる姿などを目にすることができる。
SUPの別称は「ビーチボーイ・サーフィン」。近年になって爆発的に人気が出たこの新しいスポーツのルーツは、1960年代のワイキキにさかのぼる。当時、ワイキキのビーチボーイたちが小遣い稼ぎを目的に、沖合でサーフィンを楽しむ旅行者を撮影するために、アウトリガー用のパドルとロングボードを使ったのがはじまりなのだそうだ。それが2000年になって、サーフィンの神様ともいわれている、デイブ・カラマやブライアン・ケアウラナたちがシーズンオフのトレーニング用に使いはじめ、脚光を浴び出したという。
人気の秘訣は、広い面積の水面があれば海に限らず、湖、川などで、年齢に関係なく簡単に楽しめること。楽しみ方は実にさまざまで、早朝静かな海に出て、瞑想、呼吸法を取り入れながら海上ヨガをする人たちも少なくない。また、少し波があれば、難なく波乗りを楽しむこともできる。なかには爆風の中、ダウンウインド・パドル(風上から風下にかけて4キロから5キロをパドルする)に挑戦する人たちもいるが、こちらは、あくまで海をよく知っている上級者向け。ビギナーにお勧めのスポットはワイレア、キヘイ、ラハイナ、カアナパリなど。比較的波が小さい上、レンタルショップがビーチの近くにあるので、大きなボードを車に乗せて移動させずに済む。
キヘイにあるビッグ・カフナ・アドベンチャーズ・マウイは、SUPのレンタルをはじめ、カヤックツアーやサーフィンのレッスンなども行っている。SUPのレンタル料金は2時間35米ドルから、1日50米ドルからとなっている。
▽ゴー・サイクリング・マウイ
http://www.gocyclingmaui.com
※日本での問い合わせ先:アロハバイクトリップ
info@alohabike.com
▽ビッグ・カフナ・アドベンチャーズ・マウイ
http://www.BigKahunaAdventures.com
クラ(マウイ島)
モロキニ島(マウイ島)
ハレアカラ(マウイ島)
ワイキキ(オアフ島)
ラハイナ(マウイ島)
カアナパリ〔カアナパリ・ビーチ〕(マウイ島)
取材:ヤスコ・ランジェロン