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大自然を体感するマウイ最新のアクティビティ

最新のジップラインでマウイ島の渓谷を下る
~爽やかな空気の中でのアクティビティ&ダイニング~

0702_012.jpg 手付かずの自然を一望しながらエキサイティングな体験ができるジップラインは、特別な動力源を使わない環境にやさしいアクティビティとして世界各地で注目されている。日本での知名度は低いが、今夏には斑尾高原にジップラインがデビューするなど今後話題を集めそうだ。地上を歩くのとも、ヘリコプターで遊覧するのとも違った距離感で森林や峡谷の風景を眺めることができる新鮮さが、ナチュラル派の旅行者に受け入れられているほか、スリリングなジップ体験は一度トライすると癖になる人も少なくない。さらに、フィールドアスレチック的な体験のみならず、周囲の自然についてのガイドも楽しめる。今回はアップカントリーにあるマウイ最新のピイホロ・ランチ・ジップラインと、オーガニック農園でのランチツアーの話題を紹介する。


ジップラインで広大な峡谷を巡る

0702_025.jpg ジップラインとは身につけたハーネスをケーブルにつなげて、その名の通り「ビュッ」と音を立てながら勢いよくターザンのように空中を進むラインのこと。そしてハワイでは今、最もホットでエキサイティングなアクティビティとして注目されているのだ。今回訪れたのはマウイ島にある3ヶ所のジップラインのなかでも、今年5月にグランドオープンしたばかりと最も新しく、最長コースでのジップ体験が楽しめる「ピイホロ・ランチ・ジップライン」だ。

 マウイの大地主ボールドウィン3兄弟が所有するピイホロ・ランチの広大な敷地内には、ハレアカラ山からノースショアまで大きな亀裂を形成しているマリコ峡谷がある。この自然の峡谷に5ヶ所のラインを設置、峡谷を1本のワイヤーで行きつ戻りつしながら楽しむ。事前説明を加えたツアーの開始から終了までの所要時間は、参加人数にもよるが、およそ3時間から3時間30分だ。

 ジップライン体験はまず、地上でのレクチャーからスタートする。コースの説明、ジップ中の速度調節の仕方、止まり方など、ジェスチャー入りで丁寧な説明をここで受ける。レクチャーは通常英語のみだが、日本人参加者のためには、日本語の安全ガイドとジップライン体験のポイントを解説した説明書が用意されている。そして、それぞれの体型にあわせたハーネス、ヘルメットを装着し、いよいよ、第1コースへと出発である。参加者全員が5.4キロの重さのある自分のトローリー(滑車)を、この出発地点からコースごとに担いで移動しなければならない。


スリリングな体験も慣れると爽快に

0702_032.jpg ゆらゆら揺れる長いつり橋を渡りきると、目の前にそびえるのが第1タワーだ。この塔の下でもう一度安全指導が行なわれる。空気抵抗を少なくすればその分速力がつき、反対に両手を広げてハーネスに腰掛けるような姿勢だとスピードが落ちることなどをもう一度おさらいする。第1タワーの高さは144メートル。タワーの下から観察すると、終着地点は目線の高さとほとんど変わらないほんの少し先にあるようで、ラインもそれほど高くないように見える。とはいえ、タワーに上るのは自分の足。トローリーを持ちながら一気に上るのはさすがに辛い。それよりもっと大変なのは、プラットフォームに立ち上がった瞬間だ。眼下に何もない。それが、やっぱり怖い。プラットフォームに立ち上がると同時にスタッフが安全綱をかけてくれるのだが、正直言ってすくんでしまった。

 ハーネスをトローリーに装着し、ここで安全テストと先ほど習った速度調節や止まり方を復習。「オーケー、3、2、1」とかけ声がかかったと思ったら、「キャー」と自分の声が跳ね返ってきた。どうやって滑り降りたのかも覚えていない。気がつくと、目の前に「止まれ」のジェスチャーをしたスタッフの笑い顔が近づいてきた。瞬間、「パン!」という銃声に似た破裂音。そういえば、ブレーキがかかる瞬間この音がすると説明があったことを思い出す。「はい、次はこっちです」と、引き続き別のタワーへ。第2コースはジップ距離が360メートルの谷越えである。幸い、崖っぷちからジャンプするという設計ではなく、崖から数メートル引っ込んだタワーが始発点。森の中に飛び込むという雰囲気で、恐怖心をいくらか和らげてくれるのが救いだ。

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 体感の楽しみだけじゃない、自然を知るガイドも

0702_052.jpg 不思議なもので、第3、第4コースと、この峡谷を行ったり来たりしているうちに、病みつきになりそうな感覚すら出てくる。第3コースが終わったところで一休み。飲み物とスナックが用意されている。コースの合間にはインストラクターからハワイ固有の植物の説明や、マウイという土地、その名称の由来なども教えてくれる。第4コースで谷越えをしながら「鹿がいた!」とはしゃいでいる参加者がいた。ジップラインからは、谷間を駆け抜ける野生の鹿、イノシシなども観察することができるのだ。さらに、第4コースからラストの第5コースへはジープに乗って移動、敷地内で一番高い場所に案内される。ここからはマウイの南北両サイドのビーチをはじめ、ウエストサイド、眼下に広がるアップカントリーの町並みが一望できる。同敷地内では乗馬のアクティビティも楽しめる。もちろん、乗馬とジップラインという組み合わせも可能だ。

 そしていよいよ、最後のジップライン。これがマウイで最長距離を誇るコースである。全長850メートルで、ライン上から峡谷の底までの高さは180メートル、ジップ時間は約1分強だ。「どう、僕とレースする?」とインストラクターのコリさん。「もちろん!背中をおして、勢いをつけてください」と、私。慣れとは怖いものである。到着ポイントは遥か谷の先で、どこまで続くか見えないというのに。この最後のコースだけは、タワーから滑り降りるのではなく、地面からそのまま疾走する設計になっているからだ。もちろん、あっという間に空中をかっとばすのだが、爽快感すら味わえてしまう。終了後は「再挑戦?もちろん、やります!」と力強く答える自分がいた。

 ジップラインの料金はコースによって各種あるが、今回体験した最長コースが含まれる5ラインコースは190米ドル。年齢制限は10歳以上で、体重制限は27キロから123キロ以内。スニーカーと長ズボンの着用が望ましい。

 

オーガニック農園でたっぷりの高原野菜を

0702_062.jpg マウイのホテルやグレードの高いレストランでメニューを開くと「アップカントリー産ベジタブル/グリーン」という文字を目にするはずだ。これは、ハレアカラ山の中腹にあるアップカントリーが生産地の高原野菜。ここでは昔から、日系や中国系の移民たちが農夫として品質のよい野菜を作り続けてきた。

 「オオファーム」がアップカントリーにオーガニック農園としてオープンしたのは2000年のこと。耕地面積は8.5エーカーで、レタス、キャベツ、トマト、アスパラガス、ナス、各種ハーブ、柑橘系フルーツなど、さまざまな野菜をオーガニック栽培で育て、ラハイナにある3軒の自社レストランに供給している。このファームを見学するだけでなく、ランチまで楽しめるツアーが存在することを知っている人はまだ少ない。

 ツアーでは堆肥の作り方やオーガニック栽培について簡単なレクチャーがあり、菜園に興味がある方にはぜひお勧めしたい。土の香りに包まれ、元気な野菜たちが育つ畑の散策は、贅沢なアクティビティといえるだろう。散策のあとは野外に設置されたダイニングテーブルで、採れたての野菜を使ったランチを味わう。食事はブッフェスタイルで料理は3、4種類用意。デザートがサービスされる場合もある。この日は外側がグリーンで中がピンクのウォーターメロン・ラディッシュと、ピンクの渦巻きが珍しい新種のカブを使ったサラダと近海魚の蒸し焼き、豆腐とヒカマポテトのソテーなど、野菜がふんだんに入った料理が並んだ。

 野趣満点の焚火オーブンから漂う香ばしい香りが食欲をそそってくれる。野菜中心のライト感覚のメニューは日本人の口にもよくあうはずだ。ランチツアーが開催されるのは毎週水曜日と木曜日のみ。人数は20人から25人程度で最少催行人数は6人、完全予約制。料金は大人50米ドル、子供(5~12歳)は25米ドル。

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 ▽ピイホロ・ランチ・ジップライン
TEL:808-572-1717(英語のみ)
http://www.piiholozipline.com/

▽オオファーム
TEL:808-667-4341(英語のみ)
http://www.oofarm.com/default.htm

 

シェ・クリオ・マウイ・クッキングクラス

0702_08.jpg 「旅先でクッキングクラスに参加する」というのは、タイやベトナムなどアジアの国々ではよく知られたプログラムだが、意外にもハワイではまだポピュラーな存在ではない。マウイで出合ったユニークな食材、忘れられないその風味をレストランだけの思い出にとどめるのではなく、楽しく学んで、食べちゃおうというのがクラにある「シェ・クリオ」のクッキングクラスだ。参加者は旅行者だけでなくローカルの人も多く、割合は旅行者とローカルの参加者が半々くらい。家庭的な和気あいあいとした雰囲気で学ぶことも楽しみのひとつ。主宰者がマウイ在住で世界各国の旅行経験が豊富な日本人であるのも、安心できるポイントだ。

 ハワイアンはもちろん、日本やフィリピンなど環太平洋の多くの移民たちがもたらした東洋の食文化がローカルの味となっているハワイだけに、シェ・クリオではこれらエキゾチックな数々のメニューの作り方をレッスン。終了後には周囲の風景が一望できるダイニングで、作った料理の試食が楽しめる。

 クラスは毎週水曜日と金曜日の2回で、料金は1回90米ドル。16歳以上が対象で、参加者は1クラスにつき4人まで(完全予約制)。クラスは通常英語のみだが、参加者全員が日本人の場合は日本語で実施する。クラの高原のプライベート・ホームでのクッキングクラスは、リピーターにとっても新鮮な体験となるに違いない。

▽シェ・クリオ・マウイ・クッキングクラス
TEL:808-283-6912(日本語可)
http://www.chezklio.com/

 

今週のハワイ50選
ハレアカラ(マウイ島)
ラハイナ(マウイ島)
クラ(マウイ島)

 

取材:ヤスコ・ランジェロン