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オアフ島市内観光で商品の差別化を

リピーターにも新鮮、オアフ島市内観光事情
~バリエーション増やし、差別化はかる旅行会社も~

090910_hwir_01A.jpg  オアフ島の市内観光といえばハワイ初心者が対象で、かつてはホテルチェックインまでの時間潰しという意味も含んでいた。しかし、最近はずいぶんと様変わりしている。今年5月に実施された日本航空(JL)主催の視察旅行で10数年ぶりに市内観光に参加してみると、初めて行く定番スポットも多く、実に新鮮で有意義な時間となった。ハワイ・リピーターにとっても、ハワイの歴史や文化を再確認したり、現地のガイドを通じてハワイの最新事情に触れる格好の機会となることは確かで、商品の差別化という点でも注目したい要素といえるだろう。


オアフの歴史や自然を目の当たりに

090910_hwir_02.jpg 空港を出て最初に訪れたのはパールハーバー。空港から近いにもかかわらず、いつもホノルルへ直行していたので訪れたのは初めてだった。バスは99号線沿いのアリゾナ・メモリアル・センターに着く。なかにはビジターセンターや博物館などがあり、見学しながら説明を受けた。ここでの見どころは、ハーバーの中央に浮かぶフォード島の脇に位置するアリゾナ記念館だ。

 アリゾナ記念館は、1941年に沈んだ戦艦アリゾナの真上に造られている。いわずと知れた日本の真珠湾攻撃により撃沈されたもので、1177名の命が眠る場所でもある。また、同記念館のすぐ近くには、3つの大戦で活躍した戦艦ミズーリ号が係留されており、戦艦ミズーリ号記念館として公開されている。日本人として、また戦争を知らない世代としても訪れるべき場所だと思うが、今まで一度も足を運ぶ機会がなく、実は今回もそこまで行くことはできなかった。説明でその概要がよく分かったので、次回はぜひメモリアル・センターからボートで記念館へ渡ってみたい。ちなみに、メモリアル・センターは老朽化による改装工事が進行中で、2010年12月7日に予定されている新ビジターセンターの全館オープンまでの期間、グループのバスが駐車する位置などが変るため、事前に調べておく必要がある。

 その後、モアナルア・ガーデンにあるテレビ・コマーシャルでおなじみの木を車窓から眺め、ヌアヌ・パリへ。1795年にカメハメハ大王がオアフ島を制圧した際の決戦地として名称は知っていたものの、どういう場所にあるのかよく知らずに行ったため、そのあまりに雄大な眺めに圧倒された。カウアイ島へ行かなければ見ることができないような絶壁と海に向かって開ける景色はまさに絶景。ワイキキにいるだけでは分からないオアフ島の自然に触れ、この島の面白さを再認識した。ツアーはその後ダウンタウンへ向かい、車窓からカメハメハ大王像を眺め、アロハタワーのショッピングセンターにも立ち寄った。わずか半日の市内観光だったが、満足度は十分だ。090910_hwir_03.jpg


ガイドの個性が観光をより印象的に

090910_hwir_04.jpg 今回の市内観光は、ジャルパックの全面協力のもとに行なわれた。乗車したバスのガイドは「かおりさん」という長身の女性。あざやかな色のムームーを着ていることもあり、どこに居ても目立つ存在だ。旅行会社の研修による市内観光だったが、ハワイ初心者が多く、ガイドの内容も初心者向けの注意事項からハワイの歴史、ホノルルの最新情報など多岐に渡っていた。

 その中で面白いと思ったのは、喫煙ルールと道路の横断の注意部分。現在、ハワイは分煙が進み、公共のスペースは禁煙エリアと喫煙エリアに分かれている。一部を除く屋根や壁に囲まれない屋外や個人の住居、ホテルや公共施設の所定の喫煙エリアでは喫煙可能だが、ホテルの禁煙ルームはたとえベランダであっても喫煙禁止。喫煙可能な場所でも、出入り口や窓、階段、エレベーターなどから20フィート圏内は禁煙区域になり、喫煙者は注意が必要だ。

 また、ハワイの人はおおらかでのんびりしているが、こと横断に関しては違うという話も興味深かった。両側から車が来なければ、信号を無視して横断したり、信号のない場所で道を横切ったりといったことは日本でもよくある光景。しかしハワイではこの取り締まりが厳しいらしく、見つけると警官がすっ飛んでくるという。しかも罰金は130米ドルもするというから、驚きだ。楽しいバカンスにこんなことでケチをつけられたくないと、思わず身が引き締まる。要はあせらず、青になってから渡ればいいことなのだが、実は知らないという人も多いかもしれない。

 かおりさんはジャルパックのグループ送迎や観光を担当するポリネシアン・ホスピタリティというバス会社の専属ガイドで、ガイド歴は15年。リピーターが多いハワイで、ありきたりのガイドにならないよう気をつけているという一方、「安全で快適な時間を過ごしていただくための案内にも手を抜かない」。かおりさんの巧みな話術は、ハワイアンの特性やユーモアを交えるため、それが注意事項であっても思わず耳を傾けてしまうという熟練の技だった。


ジャルパックは下期、新ルートを設定

090910_hwir_05.jpg 今回参加した市内観光は、ジャルパックのツアー参加者向けの「ホクレア観光」のルート1「ベスト・オブ・オアフ」のアレンジ版。本来は、DFSギャラリア・ワイキキ発着で、ハナウマ湾、ハロナ潮吹き岩、ヌアヌ・パリ、モアナルア・ガーデン、カメハメハ大王像、ダウンタウンのコースを3時間30分で周る。パンフレットをよく見ると、このほかにもホクレア観光にはルート2の「ノースショア&ハレイワ」や季節限定のプレミアムルートなどがあり、一部をのぞきツアー参加者に無料で催行されている。

 同社ハワイ・アメリカ部ハワイグループ若林崇浩氏によると、市内観光にバリエーションが出てきたのは2000年上期頃だったという。最初は2本でそのうちの1本は今の「ベスト・オブ・オアフ」に近いもの、あとの1本はその年によって内容を変え、試行錯誤していった。「ホクレア観光の種類を増やし過ぎると、有料のオプショナルツアーが売れなくなるので難しいところだが、市内観光の魅力も他社との差別化のひとつになると考えている」とのこと。同社では、参加者のアンケートによる反応を見て、ルート内容を柔軟に変更し、半期ごとに協議してルートを新設しているという。

 アイルの場合、ほぼ100%の参加者がホクレア観光に参加しており、2ルート以上に参加する人も多いという。この下期は、プレミアムルートの内容を昨年下期に好評だったドルフィンウォッチングとワイケレアウトレットのコースにするほか、さらに新たなルートが2つ登場。健康やエコブームを反映した「ダイヤモンドヘッド・ハイキングとカイルアタウン散策」と、夕方から出発してサンセットと夜景を楽しむ「ロマンチック・ワイキキ」である。若林氏は、「4つのルート+プレミアムルートで全5ルートとなる下期は、史上最強のラインナップ」と説明。オアフ島での観光強化による商品の差別化に自信を見せる。 

 

今週のハワイ50選
ワイキキ(オアフ島)
ノースショア(オアフ島)
ダイアモンドヘッド(オアフ島)
カイルア(カイルア・ビーチ)(オアフ島)
カメハメハ大王(全島)

 

取材:竹内加恵