コーヒー通も注目!マウイのコーヒー農園を訪ねて
気品あふれる"クラ・コーヒー"と味わいの"カアナパリ・コーヒー"
ハワイのコーヒーといえば、ビッグ・アイランド(ハワイ島)の"コナ・コーヒー"が世界的なブランドとしてあまりに有名だが、近年ではサトウキビやパイナッ プル産業の斜陽化にともなって、他の島でもコーヒーの栽培に熱い視線が注がれている。なかでもハレアカラという3000メートル級の山の傾斜地を利用して生産されるマウイ島のコーヒーは、品質の高さではコナ・コーヒーをも凌ぐといわれ、コーヒー好きの間では知られた存在になりつつある。コーヒー農園は見学も可能となっており、広大な園内で生産工程を見学したり、周囲の風景を楽しみながら、ゆったりとしたひとときを過ごすことができる。コーヒーを目当てにせずとも、栽培の様子を眺めたり、生産者から直接話を聞くことで、マウイの風土をより身近に感じさせてくれる体験として、リピーターにも提案できる素材のひとつといえるだろう。
グランプリ受賞の実力派、クラ・コーヒーのシム農園
ハレアカラ・ハイウェイからクラ・ハイウェイに入る地点が、アップカントリーと呼ばれるクラへの入口だ。このクラ・ハイウェイをさらに進んで標高1000メートルあたりまで上ると「シム農園」に到着する。農園主のケーシー・シムさんは今年で86歳。「私のコーヒーは世界で一番!」と太鼓判を押すだけあって、2008年にマウイで実施されたカッピング・コンテスト(コーヒー試飲コンテスト)で見事グランプリを獲得した自慢の一品だ。ほのかに酸味のきいた喉ごしのよいフルーティーな味が、シム農園のコーヒーの持ち味。実はこの酸味、ブルーマウンテンやキリマンジャロなど、世界の高地で栽培されるプレミアムコーヒーの特色とされているのだ。高地寒冷栽培のため果実の熟成に時間がかかり、その間に上品な酸味が形成されるといわれており、コーヒー・ファンも納得の味に仕上がっている。
シム農園から数分車を東に走らせると、「ケオケア・ファーム」に到着する。2エーカーの農地に約900本のコーヒーの木が植えられ、すべてオーガニック栽培だ。ここでも園内を見学することができる(要事前予約)。コーヒーの摘み取りはすべて手作業。バケツ一杯摘み取るのに最盛期で2時間も要する重労働だ。
もう一つ、マウイの代表的なコーヒーといえばカアナパリ・コーヒーがある。島の西部、カアナパリリゾートの山側になだらかに広がる傾斜地で栽培されており、500エーカーもの広大な土地に広がるコーヒー・プランテーション「カアナパリ・エステイト」だ。収穫方法はクラとは違い、すべて機械摘み。これは平坦な土地ならではの収穫方法でもある。一年を通して惜しみなく注ぐ日差しを受けるカアナパリでは、夜間の気温もクラと比べると8度から10度以上も暖かい。そのためカアナパリで育つコーヒーの味はコクがあり、甘みが増すといわれている。
ハレアカラ(マウイ島)
カアナパリ〔カアナパリ・ビーチ〕(マウイ島)
ラハイナ(マウイ島)