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ハワイ・フィルム・スペシャリスト社長 ダウソン氏

人気ドラマや映画のロケ地として
プロデューサーを魅了するハワイの風景とは

 

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最近では大きな話題を集めたテレビドラマ「LOST(ロスト)」をはじめ、多くのドラマや映画のロケ地として選ばれるハワイ。今回は、ハワイ州とテレビや映画プロデューサーとの橋渡し役として活躍するハワイ・フィルム・スペシャリスト社長のドニー・ダウソン氏に、ロケ地としてみたハワイの魅力、「LOST」の撮影秘話をはじめ、おすすめのロケ地スポットめぐりなどスクリーンに登場したハワイの楽しみ方についてお聞きしました。

ハワイ・フィルム・スペシャリスト
社長 ドニー・ダウソン氏



Q.ダウソンさんは、これまでに多くの映画やテレビロケをハワイに誘致した交渉役とお聞きしていますが

 昨年まで勤務していたハワイ・フィルム・オフィスは、ハワイ州産業経済開発観光局 (DBEDT)に属しており、そこでステート・フィルム・コミッショナーとして、ハワイ州をロケ地に採用してもらえるよう、映画やテレビ番組のプロデューサーに働きかけたり、撮影地の交渉およびその許可申請をしていました。私が担当したのは2001年からですが、このオフィス自体は1978年創設で、こうした誘致活動の歴史は古いのです。


Q.「LOST」のロケ地はどのようにしてハワイに決まったのですか

 

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 当時はオーストラリアで撮影するということで、ほぼ決まりかけていました。ただ2004年、プロデューサーであるJ.J.エイブラムス氏がハワイに視察にやってきて、その時に見たモクレイアビーチを気に入ったことが転機となりました。モクレイアビーチは、ノースショアのワイメア湾を南下し、ハレイワの街を通り過ぎ、さらに西へ行くと到着するビーチです。テレビの画像、つまり四角いワンシーンにビーチ、海、山がすべて収まることが、エイブラムス氏を魅了したのです。

 しかし、そのあとは大変でした。撮影中、このビーチに壊れた飛行機をそのままの状態にしておくという条件があったのですが、ハワイのビーチは公共のもので、誰でも使えるようにオープンにしておかなければならないので、撮影許可が下りるかどうかは賭けでした。撮影開始まで3週間と時間もないため、中古の飛行機を受注し、それを解体して船で送るという見切り発車で行うしかありませんでした。許可が降りたのは、なんと撮影の前日だったのです。


Q.「LOST」はすべてオアフ島で撮影されたそうですが

 「LOST」の話は実に複雑で、ロサンゼルス、韓国、ロンドン、イラクなどさまざまな場所が絡み合ったストーリーになっています。オアフ島は、いろいろな民族が共存してきた歴史により、多くの文化的建物があり、ハワイ王朝時代からの建物も残っています。こうした多様性こそがオアフ島のみで撮影を完了できた要因です。これによってクルーやキャストの方も他で撮影する時間や手間が省けて、結果的にはコストの削減にもつながっており、これは"ロケ地ハワイ"を売っていく上での大きなメリットのひとつといえるでしょう。


Q.「LOST」での撮影地など、日本人旅行者におすすめの場所を教えてもらえますか

 

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 先に述べたように、オアフ島内の至るところで撮影が行われました。例えばダウンタウンのYMCAをロサンゼルスの神経病棟として使ったり、同じくダウンタウンのセント・アンドリュース教会をロンドンの学校として撮影したりするなど。最終回に登場するシーンでは、コンサート会場としてビショップ・ミュージアムも使われています。このほかにもモクレイアビーチをはじめ、レストランとしてはダイヤモンド・ヘッドの麓にあるお洒落なダイヤモンド・ヘッド・グリルなど、本当にたくさんの場所が撮影地として使われているので、ドラマを見てから訪れてみるのも面白いのではないでしょうか。


Q.ロケ地としてみたハワイのセールスポイントは

 まず、大きいのが税遇措置ではないでしょうか。これはいわゆるリベートシステムで、オアフ島で撮影した場合はかかった経費の15%、隣島なら20%が制作側に払い戻されます。つぎに、ハリウッドからハワイが地理的に近いというのも挙げられます。また、オアフ島はジャングルやビーチも距離的に近いところに集結しており、移動がスムーズです。ショッピングセンターやホテルなども車で1時間圏内のところがほとんどです。他にこのようなロケーションの都市や国を見つけることは難しいと思います。

 また、映画関係のテレビクルーや技術関係者がそろっていることもメリットでしょう。たくさんのスタッフを連れてくると、それなりに経費がかさみます。さらに、風景や建物など文化的な背景も含めて、多様性に富んでいることも大きなポイントです。


Q.近年の撮影の状況を教えてください

 2007年を例にとると、マウイ、モロカイ島で『パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド』、ハワイ島では『インディ・ジョーンズ クリスタル・ スカルの王国』が撮影されたほか、他の映画の撮影もあり、映画制作によってハワイにもたらされた金額は2億2900万ドル(約210億円)にも上りまし た。また、日本のテレビコマーシャル撮影のためビザを早く発行する「ビザ・パイロット・プログラム」が始まってからは、2、3日でビザが下りるようになったことから、日本からやってくる撮影クルーの数も2~3倍に増えました。


Q.ダウソンさんはお母様がハワイアンとのことですが、ハワイの文化や歴史にも関心がおありですか

 

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 大変関心がありますね。また、撮影シーンを提案したり、プロデューサーと話を進めたりする上でも、ハワイアンの歴史や文化を知っていることは大切です。ハワイアンの聖地や撮影に向かない場所はあらかじめ制作側に指摘しておき、撮影間際にデモなどが起こらないようにします。個人的にはカホオラヴェ島の自然をとり戻す活動に大変興味を持っています。結局実現しませんでしたが、クリント・イーストウッド監督の映画『硫黄島』では、このカホオラヴェ島を撮影地に、という話もありました。


Q.ダウソンさんの休日の過ごし方やおすすめスポットを教えてください

 フラが好きですね。4月にはフラの祭典メリー・モナークを見るため、ハワイ島に行ってきました。水泳やハイキングも好きですよ。また、昔懐かしい雰囲気がまだ残っているモロカイ島もいいですね。おすすめのお店はワインバーとしても有名な「フォルマジオ」と同じオーナーのダイニング・バーで、カパフル通りに ある「サケ・ストリート(Sake Street)」です。


ありがとうございました
 

 

今週のハワイ50選
ノースショア(オアフ島)
ダウンタウン(オアフ島)
ビショップ・ミュージアム(オアフ島)
ダイヤモンド・ヘッド(オアフ島)

 

取材:堀内章子