• 体験レポート
  • ライフ&カルチャー
  • マーケットトレンド
  • インタビュー

ハワイアン・ミュージックを本場で楽しむ

 

090820_hwl_01.jpg

 最近は日本でもハワイアン・ミュージックのCDを手軽に購入できるし、日本のFMラジオからもハワイアン・ミュージックがよく流れてくる。ハワイのアーティストによる来日コンサートも少なくない。ハワイ発の音楽を楽しむ人の数は、ハワイ旅行のリピーターやフラ愛好家、サーファー、癒しを求める人など、幅広い層に広がっている。青く澄んだ海、サーフィンにぴったりの波、心地よい空気、色とりどりの花々といったハワイの魅力である自然と環境のよさは、直に触れて初めて心から感じることができるように、ハワイの音楽も現地で聴いてこそ、その本当の魅力を心から感じることができる。野外でのイベントやライブハウス、FMラジオなどなど、これから出かける旅行者にはぜひ、ハワイの音楽を肌で感じる滞在をすすめたい。

 


ハワイの音楽スタイル

090820_hwl_02.jpg ハワイの音楽の魅力とはなんだろうか。一言でいうなら、やはりハワイという独特の土地柄やライフスタイル&カルチャーから生み出される“フィーリング”じゃないだろうか。ハワイの音楽を聴いて、その“フィーリング”が伝わるとき、人は「気持ちいい」と感じるのだろう。

 ハワイには、アメリカのメインストリームの音楽シーンとは別にローカルの音楽シーンが存在し、その多くがハワイのローカルによるローカルのためのローカル音楽だ。そんな現在のハワイ・ミュージック・シーンを大雑把に分類すると『ハワイアン・ミュージック』と『アイランド・ミュージック』の2種類の音楽スタイルに分かれる。

 ハワイアン・ミュージックは、昔ながらのハワイ語ソング(トラディショナル・ハワイアン)、20世紀初頭からアメリカ本土向けに作られた英語&ハワイ語のハワイアン・ソング(ハパ・ハオレ)、現代のアーティストによって作られる新しいハワイ語ソングを(コンテンポラリー・ハワイアン)と呼び、おおまかに3種類に分かれており、それらすべてをひっくるめてハワイアン・ミュージックと呼ぶ。ギター、ウクレレ、ベースという基本形に、スチール・ギターやピアノも参加する。ハワイ独特のギター奏法スラック・キー・ギターもハワイアン・ミュージックの重要なひとつのスタイルだ。ジャズもハワイアンと相性が良く、ジャズ色が濃いハワイアンを演奏するミュージシャンも活躍している。

 一方、アイランド・ミュージックは、上記のハワイアン・ミュージックに属さないレゲエ、ロック、スカ、AORなどの音楽スタイルをベースに、ハワイのアイランド・ライフを歌う音楽をひっくるめて、そのように総称する。ハワイアン・レゲエ(ジャワイアン)は中でもミュージシャン層が厚い分野で、若者を中心にローカルに最も人気のあるカテゴリーといえるだろう。

 これらの音楽はときに海を越え、広く親しまれるアーティストも出現する。たとえば「オーバー・ザ・レインボー」が世界的に聴かれるようになったイズラエル・カマカヴィヴォオレや、ハワイを代表するアーティストとなったケアリイ・レイシェルやHAPAといったアーティストは、ハワイでの空前のCDセールス後、アメリカ本土そして日本でもCDがリリースされ、日本人のファンも多い。


ハワイ音楽界最高峰のイベント

090820_hwl_03.jpg ハワイの音楽のトレンドを知りたければ「ナ・ホク・ハノハノ・アワード」は欠かせない。ハワイでは年間200枚ものCDが制作リリースされており、ナ・ホク・ハノハノ・アワードはハワイ語で「輝くスターたち」という意味で、それらの中から優秀作品に賞を与えるハワイ版グラミー賞といわれる音楽祭なのだ。リアルタイムのハワイ音楽の潮流を示す羅針盤的な役割を果たしており、人気のハワイ音楽のスタイル、アーティストを知りたければ、その年の受賞者を見れば一目瞭然だ。同イベントは30年の歴史を持つハワイ音楽界の最重要音楽賞として、現在では海外からも注目されている。

 今年の授賞セレモニーは6月9日に開催され、会場のシェラトン・ワイキキ・ホテルのボールルームにはフォーマル・ウェアに身を包みレイをかけたミュージシャンや音楽関係者、メディア関係者、そして観客が大集合。夜7時30分からテレビ中継も華々しくスタートし、セレモニーは約4時間にわたって開催された。第32回となる今年のナ・ホク・ハノハノ・アワードでは全26部門、100以上のノミネート作品のなかから、20組を超える受賞アーティストが選ばれた。

 さて、このイベント、観客のほとんどはハワイの音楽関係、メディア関係者だが、近年では食事付きの100米ドルから130米ドルのチケットが一般客にも販売されるようになった。ボールルームに並べられた丸テーブルの席が客席で、席数は1000ほど。ハワイの有名アーティストによるステージ・ライブも楽しめるハワイ最高峰の音楽イベント、ナ・ホク・ハノハノ・アワードを生で見るのは他にない格別な体験になるだろう。


気軽にハワイの音楽を体験

090820_hwl_04.jpg 音楽はハワイらしさを膨らませる気軽なアイテムになる。企画内にさりげなく音楽に触れられる場面を含めたり、旅行の手配中に現地で音楽に触れる体験をすすめたい。ここでは、実際にハワイで気軽にできる音楽の楽しみ方を紹介する。


▽ラジオでハワイの音楽を楽しむ

 ハワイでの音楽体験、一番簡単でインスタントな方法はFMラジオを聴くこと。レンタカーを運転しながら、ローカルFMステーションを聴けば、ハワイ気分は一気に盛り上がるはず。ホテルの部屋で目覚めに聴くのも、その日の気分を盛りあげてくれる。FMパラダイスのホノルルでは10数局のステーションにチューニングでき、各ステーションによって音楽のジャンルがはっきりと区分けされているのも特徴。ざっとソフトロックAOR系、ダンス・ミュージック系、アイランド・ミュージック系、ハワイアン系、ロック系、オールディーズ系に分けられるが、なかでもハワイ発の音楽を聴けるのは以下のステーション。

92.3(KSSK) ソフトロックAOR系
96.3(KRTR) ソフトロックAOR系
98.5(KDNN) アイランド・ミュージック系
100.3(KCCN) アイランド・ミュージック系
105.1(KINE) ハワイアン系


▽生演奏を聴きに行こう

 ハワイ音楽はやっぱり生演奏が気持ちいい。ビーチやパークでの野外イベントなら、風に吹かれながら砂浜や芝生に座ってのんびりと。レストラン&バーでのライブなら、食事とドリンクをいただきながら贅沢に。ホールでのコンサートなら、他の客とともにローカル気分でハワイの音楽を存分に楽しむことができる。イベントから定期的なライブまで、観光客でも気軽にアクセスでき、ハワイ発の音楽を楽しめる場所を紹介しよう。

■モナーク・ルーム(ザ・ロイヤル・ハワイアン)
再オープンした“ピンク・パレス”のモナーク・ルームで開催されるハワイアン・アーティストによるコンサート・シリーズ。毎週木曜日の夜7時30分からと夜9時30分からの2ステージ。8月の出演はマカナ。伝統のスラック・キー・ギターでロックする実力派アーティストだ。9月以降も12月24日まで、マウナルア、セシリオ&カポノなどが出演予定

■ウクレレ・フェスティバル
毎年7月に開催されるハワイ最大の無料野外ウクレレ・イベント。今年は7月19日に開催された。時間は午前9時20分から午後1時30分。会場はワイキキのカピオラニ・パーク・バンドスタンド。ハワイやアメリカ本土、日本からウクレレ・プレイヤーが参加

■ケ・カニ・オ・ケ・カイ
ワイキキ水族館の中庭で行なわれる野外コンサート・シリーズ。夏期の日時限定のイベントで、今年は6月から8月の5回開催。人気ハワイアン・ミュージシャンが1週おきに出演し、夜9時からサンセットを楽しみながらのライブを満喫できる。入場料は25米ドル。ローカルに大人気のイベントで、すぐにチケットが売り切れるほど

■チャイズ・アイランド・ビストロ
アロハタワー・マーケット・プレイスにある港のファンシー・レストラン。数々の賞に輝く有名シェフ、チャイの料理はもちろん、エンターテイメントもピカイチ。毎晩選りすぐりのハワイアン・アーティストが出演している

■モアナ・テラス(ワイキキ・ビーチ・マリオット・リゾート&スパ)
3階プールサイドのレストラン&バー。波の音を聴きながら音楽を楽しむことができる。木曜日と日曜日は有名ハワイアン・バンドの出演。フラ・ダンサーの飛び入りも楽しめる。地元の常連客も多い

■カニ・カ・ピラ・グリル(アウトリガー・リーフ・オン・ザ・ビーチ)
1階プールサイドのレストラン&バー。オープンエアのテーブルまたはカウンターで有名ハワイアン・ミュージシャンのライブが楽しめる。日替わりで出演するアーティストのラインナップはかなり豪華。生演奏は夕方6時から夜9時まで。地元の常連客も多い

■ルルズ・サーフ・クラブ(パークショア・ワイキキ)
ローカルの若者や観光客に人気のレストラン。ほぼ毎晩、ミュージックライブが開催されている。ハワイ州観光局2009年キャンペーンソングを歌うマノアDNAも毎週出演している

 

今週のハワイ50選
ハワイアン・ミュージック(全島)

 

取材:吉見大介