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カウアイ島の新素材、コロア・ラムとカウアイ・マラソン

091217hwi_top.jpg 雨の恵みを受けた緑豊かな大自然を擁するカウアイ島。ここでは、昔も今も変わらない風景がアトラクションのひとつともいえるだろう。とはいえ、このほどお目見えした新たな観光要素は、ハワイにとっても新素材として注目したいところだ。サトウキビ産業の遺産をいかしたラム酒と、チャレンジングなコースが特徴のカウアイ・マラソンである。隣島の中でも日本人観光客が少ないカウアイ島への、送客のきっかけとなる可能性を秘めているともいえるだろう。


 
サトウキビ産業繁栄の名残

091217hwi_01.jpg カウアイ島に初のサトウキビプランテーションができたのは1835年のこと。その後、サトウキビ畑の開墾は進み、特にリフエやオールド・コロア・タウンなどでのプランテーションは大成功を収めた。その面影を今に残すのが、ミュージアム&ショップとして一般公開されているキロハナ・プランテーションである。サトウキビ畑の大地主であったゲイロード・ウィルコックス氏が、14万平方メートルの敷地に構えた邸宅で、贅を尽くした造りは海外から取り寄せた家具や絵画を含め、当時の裕福な生活ぶりを雄弁に物語っている。

 母屋はその価値を損なわないように改装され、屋内の家具の55%が当時のもの、残りの家具も写真を見て再現したものだ。当時の様子を最もよく表しているのが、ミュージアムにもなっているリビングルームだ。サトウキビで成した財により病院や小学校などを寄付していたウィルコックス氏は、地元の人々に尊敬される人物だったという。そのため、ウィルコックス氏のリビングルームに招かれることは、名誉なことだったといわれている。

 その他の部屋は、ショップとして活用されているのがユニークだ。2階の子供部屋やベッドルームはジュエリーショップに、そして趣きのある1階のダイニングルームは、地元でも評判のレストラン「ゲイロード」となっている。庭の緑を眺めながら、開放的な空間で楽しむ料理の数々は、質の高さにも定評がある。なにしろ、料理に使用する野菜や果物、ハーブなどは、広大な敷地で栽培した新鮮なものばかり。今回の訪問では味わう機会がなかったのが残念だ。

 キロハナ・プランテーションでは週に2回ルアウが開催され、ウェディングでも利用可能であることから、グループでの食事やイベントにも勧められる。また、観光素材としてパッケージツアーにも組み込みやすい。毎日午前9時30分からオープンするので、ホテルをチェックアウトした後に立ち寄って、フライトのチェックイン時間まで、食事やショッピング、アクティビティなどを楽しむことも可能だ。リフエの郊外で、中心部から約1.5キロというアクセスのよさもメリットのひとつとなっている。


キロハナにコロア・ラム登場

091217hwi_02.jpg カウアイ・プランテーション・レイルウェイは、約3年前にキロハナ・プランテーションに登場したアクティビティ。広大な敷地にぐるりと線路を敷き、当時の鉄道を模した木製の列車で1周40分のツアーが楽しめる。サトウキビは風に弱いため、風避けにフルーツの木々を植えているという大農園を巡ると、確かにサトウキビの間にライチ、アボカド、バナナ、ランブータン、パイナップル、パパイヤなどさまざまな果物の木が植えられていて面白い。ほどなく走ると、野生のブタやヤギが放牧されているエリアに停車し、餌やりをする時間となる。子供はもちろんのこと、思いがけず大人も夢中になってしまうものだ。旅行者にとっては格好の記念写真スポットともなるので、大人だけのグループでも喜ばれるだろう。

 また、カウアイ島らしさ、キロハナ・プランテーションらしさを強調するなら、今年10月にオープンしたばかりのコロア・ラムに注目したい。サトウキビ産業が盛んだったこの島に、サトウキビを原料とするラム酒の施設が誕生したのはむしろ遅いくらいで、まさに待望のオープンとなった。母屋とサトウキビ列車出発地点の間にできたコロア・ラムは、1部屋がテイスティング・ルーム、もう1部屋がショップになっている。ラム酒はホワイト、ゴールド、ダーク、スパイスの4種。テイスティング・ルームでは、ホワイトとゴールド、これにラム酒と混ぜるだけでマイタイになるマイタイ・ミックスが試飲できる。アルコール度数40のラム酒の味は、実はよく分からなかったが、マイタイ・ミックスとブレンドすると一気に飲みやすくなった。しかし通の人にいわせると、ここまでピュアなラム酒はほかではあまり見かけないそうだ。

 ショップでは、ラム酒やマイタイ・ミックスはもちろん、ロゴグッズやカウアイメイドの食品を買うことができる。人気が高いのは、チョコレートクリームにラム酒を混ぜたラム・ファッジ・ソースやコロア・ラム・ケーキ。ラム酒はどれも1リットル入りの瓶なので、土産用の小さいサイズがあるとさらに便利だろう。


難易度高いカウアイ・マラソン

091217hwi_03.jpg マラソンブームが追い風のなか、今年からカウアイ島でもカウアイ・マラソンがスタートした。1500名の定員を上回り、フルマラソンに約500名、ハーフマラソンには約1100名が参加、日本からも約30名のランナーが出場した。同イベントの創始者は、食品会社社長であり、自らもマラソンランナーであるジェフ・サッチーニ氏。カリフォルニア在住だが、別荘のあるカウアイ島に惚れ込み、自らマラソン大会をつくってしまったという人物だ。レース・ディレクターは、マウイやコナのマラソン大会を手がけてきたボブ・クレーバー氏で、大会スポンサーはシェラトン・カウアイ・リゾートとなっている。

 カウアイ・マラソン最大の特徴は、そのコースにある。海沿いのポイプ地区をスタートし、内陸へ向かって走り折り返してポイプ地区に戻るコースで、なかでもポイプ地区は随所にアップダウンがあり、場所によっては箱根駅伝並みだとか。ハーフでも行きはゆるやかな登り、帰りは下りで、その下りコースにアップダウンがあるという。フルマラソンになるとかなり厳しいコースとなるが、平坦なコースに飽きたランナーや難コースにチャレンジしたいランナーには魅力的なはず。余計な建物がない自然風景の中を走り、ラスト3キロで海をめざす下り坂が、カウアイ・マラソンらしいコースとなっている。

 レースのスタートは朝6時。少しずつ明るくなる空の変化とともに走っていくと、ところどころで応援ボランティアが待っている。時にはフラボーイ、時にはタヒチアンダンサーと、いかにもハワイらしい演出だ。また、約3キロごとにエイドステーションが設置されており、スタートとフィニッシュ地点には、フルーツやドリンク、マッサージや足のマメを治療するテントなど、充実のサービス体制が整っている。スポンサーであるシェラトン・カウアイ・リゾートはゴールに生ビールテントを設営しており、これをめざしてゴールしたというランナーもいたほどだ。

 2010年の開催日は9月5日の日曜日。日本人旅行者が少ないカウアイ島をアピールするのに、今ならマラソンは大きなフックとなるだろう。ちなみに、カウアイ・マラソンのエントリー代行とピーアールは、スポナビハワイが担当している。2010年は日本からの集客で、200名をめざすという。


▽コロア・ラム
http://www.koloarum.com

▽カウアイ・マラソン(スポナビハワイ)
http://www.sponavihawaii.com


今週のハワイ50選 キロハナ・プランテーション(カウアイ島)

 

取材:竹内加恵