ナ・ホク・オ・ハワイ・ミュージック・フェスティバル
「ナ・ホク・オ・ハワイ・ミュージック・フェスティバル」が初開催
~ワイキキ一帯がハワイアン・ミュージック一色に~
今年、新たに誕生した「ナ・ホク・オ・ハワイ・ミュージック・フェスティバル」が、5月27日から30日までの4日間にわたり開催された。33年の歴史を誇るハワイアン・ミュージックの祭典「ナ・ホク・ハノハノ・アワード」と連動した大型イベントで、アワードの授賞セレモニーが最終日のメインとなった。期間中はワイキキの各スポットで音楽関連のイベントが開催され、華やかな雰囲気に包まれた。この新イベントの誕生の背景には、旅行者の参加の多いフラ関連イベントに続く「ハワイへ行く理由」の動機付けを創出したいというねらいもある。フェスティバルは来年も実施される予定で、音楽を聴いたり、自らも演奏を楽しむような愛好者をターゲットにした、ハワイ送客の新たなきっかけになりそうだ。
ハワイ・コンベンション・センターを舞台に
多彩な音楽イベントを開催
「ナ・ホク・オ・ハワイ・ミュージック・フェスティバル」は、ワイキキのハワイ・コンベンション・センターをメイン会場に開催された。初日のオープニング・コンサートにはじまり、28日と29日は各種ワークショップや講演を実施。最終日の30日には「ナ・ホク・ハノハノ・アワード」の授賞セレモニーとアフター・パーティが開催され、まさにハワイアン・ミュージック一色の週末となった。
フェスティバルの主要イベントに参加するには、オフィシャル・サイトでの事前登録とチケット購入が必要。日本からの参加者向けに日本語サイトも開設され、日本円での事前購入も可能となっていた。各イベントの参加料金は、オープニング・コンサートが8500円、ワークショップ・パスが2万8500円、アワード・セレモニー&アフター・パーティが1万2500円だ。オープニング・コンサートは、軽食とドリンクを楽しみながらのカジュアルなパーティ・スタイルで、エイミー・ハナイアリイ、ジェイク・シマブクロ、カラパナなど8組のアーティストが出演。日本からはゲスト・アーティストとしてハワイ出身のシンガー、伊藤由奈も出演した。
2日目と3日目には、ハワイの有名ミュージシャン、プロデューサー、ソングライター、クムフラによる講演やワークショップが複数の部屋で同時進行する形で開催された。こちらもあらかじめオンラインで参加を希望するクラスに登録するという形式で、最大で12クラスの受講が可能だった。講師として名を連ねたのは、クムフラ&シンガーのケアリイ・レイシェル、スラック・キー・ギターの大御所デニス・カマカヒやシリル・パヒヌイ、ウクレレ・プレイヤーのジェイク・シマブクロ、クムフラ&ソングライターのフランク・ヒューエットなど、実に豪華な顔ぶれ。どのクラスも参加者は10人から30人前後という少人数で講師との距離が近く、愛好者にとってはまたとない貴重な機会になっただろう。
ただ、現地の人々はもちろん、各国からのハワイアン・ミュージック愛好家がもっと多く集まるワークショップにするには、内容や事前のピーアール、オンライン登録方法、料金設定などの部分で改善できる余地がありそうだ。ちなみに、ワークショップでは日本語通訳のサービスはなく、日本人参加者はフラ関連クラスで数人見かけた程度。しかし、「有名ハワイアン・ミュージシャンの演奏で一緒に踊ろう!」というクラスなど、英語が分からなくても十分楽しめる内容のものもあった。
セレモニー終了後には
授賞アーティストと一緒に楽しむパーティも
最終日の「ナ・ホク・ハノハノ・アワード」セレモニーは、まさにハワイ版グラミー賞といった華やかな雰囲気で開催された。式典に先立って、アーティストやエンターテイメント業界など各界の著名人がレッドカーペットで入場。フェスティバル・ムードが最高潮に達するなか、ステージ・パフォーマンスをはさみながら各賞が発表された。これまで観客は丸テーブルで食事をしながらセレモニーを鑑賞していたが、今年はテーブルをなくして椅子をずらりと並べ、着席して鑑賞するスタイルに変更。席数を大幅に増やしたことで、一般客もチケットを購入して観覧できるようになった。授賞セレモニーを観るために日本からやってきたグループ客の姿も少なくなかった。
ステージでは、全10組のアーティストによるライブ・パフォーマンスがあった。なかでも印象的だったのが、ハワイアン・ミュージック界で人気のユニット「HAPA」のバリー・フラナガンとジェイク・シマブクロ、アメリカ本土から参加したケニー・ロギンス、イギリスのバンド「フリートウッドマック」のミック・フリートウッドがコラボレートして演奏した、マティスヤフの名曲「One Day」のカバー。フェスティバルの開催がちょうど戦没者追悼記念日(メモリアル・デー)の週末ということで、「アフガニスタンで亡くなった兵士とその家族に捧げる」とのアーティストの呼びかけで歌われたこのパワフルな反戦メッセージ・ソングは、会場に大きな感動を沸き起こした。
セレモニー終了後のアフター・パーティは深夜まで続いた。会場はライブハウスと化し、ハワイアン、ロック、レゲエなど、あらゆるジャンルの音楽を授賞アーティストたちと一般客が一緒に楽しむ。ファンクラブ・ツアーでハワイに来ていたゴスペラーズが、アフター・パーティのステージに登場。ファンクラブの人のみならず、現地の人々も巻き込んで盛り上がる一幕もあった。
4日間のフェスティバル期間中はメイン会場のほか、ワイキキのロイヤル・ハワイアン・センターのステージやワイキキ・ビーチウォークの野外ステージをはじめ、各地で無料のライブ・エンターテイメントが開催された。レストランやバーでも特別なライブ・ステージが上演されるなど、音楽にあふれたハワイの魅力を多くの人々が共有していた。
ハワイ州観光局(HTJ)によると、今年の日本人参加者数は、イベント全体を通して150名から180名程度。ショルダーシーズンの需要喚起の一策として、日本人観光客誘致で既に一定の実績を上げているフラ関連イベントに次ぐ文化イベントとして期待されたが、今回は初開催ということもあり、イベントそのものが一般消費者に十分に浸透していなかった感は否めない。参加アーティストのスケジュール発表が遅れたため、日本発の公式ツアーが組まれなかったなどの反省点もある。こうした改善点をクリアし、今後ハワイアン・ミュージックというテーマをこのイベントに絡めてどうアピールしていけるか、来年の送客を期待したい。
第33回ナ・ホク・ハノハノ・アワード 受賞結果(一部)
・アルバム・オブ・ザ・イヤー
エイミー・ハナイアリイ 「フレンズ&ファミリー・オブ・ハワイ」
・ハワイアン・アルバム・オブ・ザ・イヤー
ウルヴェヒ・グェレロ 「ナー・メレ・フラ・アロハ」
・ソング・オブ・ザ・イヤー
ローナ・リム 「ポリナヘ」
・最優秀新人賞
アヌヘア
・フェイバリット・エンターテイナー・オブ・ザ・イヤー
ジェイク・シマブクロ
ハワイアン・ミュージック(全島)
ワイキキ(オアフ島)