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現地レポート:"女性二人旅"をテーマに2島巡り

“女性二人旅”をテーマにマウイ&オアフを周遊
女性目線の視察で新客層の開拓へ

 ハワイ州観光局(HTJ)では、2010年よりアラサー、アラフォーの女性層を新たな戦略ターゲットにしている。このほど、同局およびチャイナエアライン(CI)は、「女性二人旅」をテーマに研修旅行を実施。20代、30代の女性を中心に男性も交えた旅行会社10社10名が参加し、マウイ島とオアフ島を訪れた。視察プログラムに女性向けの内容を盛り込んでいるのはもちろん、ホテルや食事、ショッピングにおいても女性目線での視察となった今回の研修。ハワイに限らず、女性層の開拓を模索する旅行業関係者の参考にもなりそうだ。


女性二人旅はバスルームにも配慮

 最初に2泊したマウイ島では、カアナパリで2軒、ワイレアで2軒のリゾートを視察した。隣島リゾートの特徴のひとつは、敷地の広さにある。いずれのリゾートも白砂のビーチフロントに客室棟やプールなどがデザインされており、ひと巡りするのに軽く1時間はかかる広さだ。

客室が広いのも、各リゾートの共通点。ラナイ(ベランダ)から望む雄大な海の景色と人の少なさも隣島ならではのプレミア感を演出している。女性二人旅をテーマにホテルを選ぶ場合、重要なポイントとなるのはバスルームだ。視察中もアメニティにロクシタンが使われていたり、洗面台が2つ備えられていると、女性陣のテンションが一様に上がる。男性よりもずっと長い時間バスルームを占領する女性にとって、それぞれに洗面台がある気兼ねのなさに共感できるからだろう。

さらなる共通点は、いわゆる“おこもりステイ”が可能である点。リゾート内の豊富な食やアクティビティを組みあわせるだけで、滞在中のスケジュールを完結できる。なかでも、女性にとって外せない要素のひとつがスパだろう。海外旅行先でスパを楽しむのはポピュラーなことになっているが、日本人はマッサージを受けるだけで終わってしまうことが多い。大型リゾートではジャグジーやサウナ、リラクゼーションルームなどスパ内の施設が充実しており、プログラムをひとつ予約するだけでこれらすべてを利用できる。マッサージの前後にひと通り利用して、リラクゼーションを堪能するのがスパの本当の楽しみ方。隣島でこそ実践してほしいリゾートライフとして提案したい。
 



高原や山で実感、マウイ島の多様性

 「マウイ島はホノルルのように何でもそろっているわけではないが、思っている以上に豊富な素材があり、選択肢も多い」と話すのは、マウイ観光局ミーティング・コンベンション&インセンティブ担当営業国際部長のトム・リスコ氏。実際、今回の研修では盛りだくさんのプログラムを体験した。

そのひとつが、ハレアカラ山麓の高原地帯、アップカントリーのクラだ。農業や花の栽培が盛んなこのエリアでは、食や花をテーマにした高原リゾートのショートトリップが提案できる。今回訪れたのは、山の斜面に切り開かれたファームのアリイ・クラ・ラベンダー。45種のラベンダーのほか、このエリア特有のプロテアをはじめとするさまざまな花を鑑賞できる。

しかし、女性陣が興味を示したのは、ギフトショップのラベンダーグッズ。化粧品だけでなく、紅茶やジャムといった食品にもラベンダーテイストがそろい、おみやげ探しの格好のスポットとなった。女性の本質は“花よりだんご”にあると心得よう。

昼食はクラシカルな風情のクラ・ロッジで、地元の新鮮な野菜を使ったメニューを楽しんだ。特に、マウイオニオンがたっぷり入ったオニオングラタンスープは、全員が絶品と声をそろえるほどの味。アメリカンサイズのバーガーや本格的なピザ窯で焼いたピザなどもあり、ホテルの高級レストランとは趣の異なる食の楽しみを提供できる。

また、ハレアカラではスターゲイジング&サンライズのツアーに参加した。降るような満天の星空と寒さに震えながら望んだ朝日の感動は、日中の観光とはまったく違った印象を残す。こればかりは性別や年齢に関係なく、ハワイの大自然を体感できるアクティビティとして老若男女にすすめたい。

気がつけば、ビーチやプールよりもずっと長い時間を高原や山で過ごしたマウイ島滞在。ビーチリゾートとして著名なマウイ島の印象が大きく変わった体験となった。




ワイキキ最新「食・買」事情

 女性二人旅のテーマにあわせて、ワイキキ滞在中の食事もバラエティに富んでいた。例えば朝食にニュー・オータニ・カイマナ・ビーチ・ホテルの名物ブレックファスト“エッグ・ベネディクト”、夕食にウルフギャングス・ステーキハウスのコースメニューという具合だ。

また、オアフ島東部の町ワイマナロに位置するナロ・ファームを訪れ、ハワイが食のクオリティについても島全体で取り組んでいることも分かった。この農園では2代目のディーン・オキモト氏が継いだ際、ハワイを代表するシェフ、ロイ・ヤマグチ氏の助言もあり、ハワイの食の向上をめざして無農薬の野菜づくりに取り組んだという。今ではアラン・ウォンズやロイズをはじめとする名店に野菜やハーブを卸しているほか、「ハワイ・シールズ・オブ・クオリティ」のメンバーにもなっている。これは、ハワイ州農務省が発足したハワイ産の農産物をプロモートする組織で、現在44のファームやメーカーが加盟している。

最後に、女性にとって最も重要と言っても過言ではないショッピングにも触れておこう。“日本より安い”“ハワイでしか買えない”“ハワイ・オリジナル”などをキーワードに、目まぐるしく入れ替わる店舗をチェックすることがハワイ・ショッピングのポイントだ。新情報としては、ロイヤル・ハワイアン・センターにこの秋、フォーエバー21が3階建てでお目見えする予定。7月にはホノルル一番のワインセラーを誇るイタリアンレストランがオープンするほか、これまで2つのショーを上演してきたB館4階のシアターでも、新たな展開を考えていくという。また、ハワイ最大のアウトレットモール、ワイケレ・プレミアム・アウトレットでは最近、アロハシャツの人気店トミー・バハマやジーンズのトゥリー・レリジョンがオープンした。ワイキキから往復5ドルのシャトルバスも運行されており、アクセスが便利になっている。


テーマと素材の絞込みを

 女性二人旅といっても、相手との関係性や年齢によって、旅の中身も変わってくるだろう。「友人と来るか、母親を連れて来るかを考えながら視察した」という参加者のように、宿泊先ひとつをとっても、立地、サービス、ビュー、ブランドなどで選択の基準が変わってくる。特にホテルの選択肢が多いワイキキでは、販売する方にも詳細な知識が求められる。

例えば、今回宿泊したワイキキ・ビーチ・マリオット・リゾート&スパなら、ワイキキ東部の立地をいかしてパオアカラニタワーのダイヤモンドヘッド・オーシャンビューをすすめたり、今後オープンするマリオットの最高級カテゴリー「エディション」との組みあわせを提案するのもいいだろう。ハワイには珍しい機能的なブティックホテル、ワイキキパークホテルは都会的なセンスを好む女性に、ホテル内で極上の時間を過ごすことができるハレクラニは、ラグジュアリーな滞在に価値を見出すブランド志向の女性にあいそうだ。また、ファミリーに最適なコンドミニアムを展開するアストンホテルズ&リゾートでは、今後キッチン付きのスイートルームを女性向けにプロモーションしたい意向を示しており、選択の幅はますます広がっている。

「マウイ島だけでなく、ホノルルでもあまり日本人の女性二人連れを見かけなかった」という意見もあり、女性二人旅のプロモーションはこれからという一面も認識された。20代後半から40代の女性と年齢を絞り込んでも、女性の興味の対象は幅広く、対応できる素材もハワイには多くある。例えば隣島なら「徹底した癒し」、ワイキキなら「アクティブにストレス発散」というようなテーマを絞込み、そのテーマを彩る魅力的な素材をチョイスすることが、今後のプロモーションの課題となってくるだろう。
 

チャイナエアライン
ビジネスクラスで旅にゆとりを演出

 

 ハワイ州観光局(HTJ)とともに今回の研修旅行を主催したチャイナエアライン(CI)は、昨年で創立50周年を迎えた。ハワイ線の歴史も古く、同社ではHTJの女性向けプロモーションを今後も積極的にサポートしていく。

 今回、往路はエコノミークラス、復路はビジネスクラスに搭乗。夜便の往路は睡眠に集中し、昼便となる復路の機内でワンランク上のミールサービスやエンターテイメントをたっぷり楽しんだ。何よりゆったりと幅広いシートと空間が疲れた身体をリラックスさせてくれる。CIの場合、往復ビジネスクラスを利用するパッケージツアーもかなりお得な料金設定となっているため、移動にゆとりを取り入れることで満足度の高い旅行を演出することができる。特に、成田空港では同社専用の「ダイナスティラウンジ」を利用できるのもうれしい限り。家を出るまで何かと慌ただしい女性にとって、身支度を整えたり、くつろいだりすることができるラウンジは、つかの間の休息の場となるはずだ。

 

今週のハワイ50選
カアナパリ〔カアナパリ・ビーチ〕(マウイ島)
ハレアカラ(マウイ島)
クラ(マウイ島)
ワイキキ(オアフ島)

 

取材協力:ハワイ州観光局(HTJ)、チャイナエアライン(CI)
取材・竹内加恵