現地で人気のウェディング最新事情
海外ウェディングの渡航先として不動の人気を誇るハワイ。今や挙式から披露宴まで日本とほぼ変わらないサービスが受けられるなど、施設も充実し選択のバラエティも増えてきた。一方、日本と同様といった安心感も欠かせないが、せっかくハワイで挙式するなら、地元のトレンドを採り入れたいというカップルも少なくないはずだ。そこで今回は新規にウェディング業界に進出した会社や、ユニークなビジネスで地元カップルに人気を集めている企業にスポットをあて、ハワイの最新ウェディング事情を紹介したい。地元カップルに評判の挙式スタイルを知ることで、個性的な演出のヒントにも役立つことだろう。
気候を生かしたアウトドア挙式が人気に
「最近はアウトドアでの挙式やレセプションを希望するお客様が多い」と、ウェディング・バイ・グレース&モナのオーナーであるモナ・ヒラタ氏は話す。以前はホテルのバンケットルームを貸し切るのが定番であったが、この5年の間に地元カップルからの「何か人とは違うものを」という要望で、ハワイの素晴らしい気候をいかしたアウトドアを会場とするのが主流となっている。ハワイのウェディング雑誌も新しいスポットを取り上げているなど、常に新しいアウトドアサイトが注目を集めている。
今、人気の挙式スポットは、[b]クアロア牧場[/b]の近くにある映画「カラテ・キッド2」の撮影地にも使われたというカハルウ。そしてコオリナの近くのラニクホノアが2大人気スポットとなっているとのこと。アメリカ本土からのカップルのレセプションの場合、グループサイズは50名くらいであるが、地元カップルとなると200名くらいの大所帯になることも珍しくない。全米での平均挙式費用は2万6000米ドルであるが、今回取材したウェディング・バイ・グレース&モナでは3万米ドルから6万米ドルの費用をかける人が大半を占め、いわゆる中流、上流階級の利用者が多いという。
通常、挙式レセプションを申し込むのは、挙式の9ヶ月くらい前というのが多く、それだけ準備期間に時間をかけるカップルがほとんどだ。昨年の金融危機にともない、来年前半まではその影響が残るというのが現状の見通しだが、2010年後半は明るい兆しも見えているという。日本人カップルが同社のサービスを利用するケースは時々あるが、新郎か新婦のどちらかでも英語に堪能な場合がほとんどとのこと。
照明やドレスでユニークさを演出
不況の影響で予算を削減する傾向はあるものの、何か特別なテーマやユニークさを出したいと願うのは万国共通であり、最近のこだわりは「照明」だとヒラタ氏は続ける。「一昔前まではレセプションの椅子にこだわり、通常の真っ白なリネンではなく黒にしたり、飾りを工夫することが多かったが、今はもっぱら照明にこだわるカップルが多い」と語る。以前は屋外でレセプションをする場合、照明といえばランタンしか選択がなかったが、最近では夜に映えるカラフルなものや、ハワイらしく海を連想する貝殻を用いた照明をディスプレイするようになってきた。「最近のカップルはここに一番気を使っているほど」だという。
また、花嫁のこだわりのポイントとしてはずせないのが、ウェディングドレス。ハワイで有名なファッションデザイナーのアン・ナンバ氏のウェディングドレスは人気が高い。打ち掛けや帯をモチーフにしたその独特のドレスは、一着3000米ドル程度と値は張るが、「何か人とは違うものを、特別なものを」と求めるカップルが買い求めるケースも着実にあるという。
このほか、レセプションの様子を撮影してすぐに編集し、そのレセプションの後半でセレモニーのハイライトとして来客に見せることも、ハワイ独特の演出だという。最近はブーケトスではなく、ピニャータ(くす玉人形で中にお菓子を詰めてある)を用意し、独身女性だけでなく男性も一緒にお菓子拾いを競いあうなど、定番から個性を出した演出にシフトしてきている。
新しい切り口で新規企業もウェディング業界に参入
地元カップルばかりでなく海外から訪れるカップルにも、ハワイでの挙式の際に移動する手段としてよく使用されるのが、リムジンカーだ。そこに着目したプラチナリムジン社が新しくリモ(パーティ)バスを購入し、ウェディング業界へ参入した。フォード車のこのリムジンは、既にラスベガスやカリフォルニアでは導入されており、注目を集めている。16名まで乗ることができ、車内を立って移動できるほど車高があるのも、ドレスを着用する新婦には使い勝手がよい。若いカップルを中心に問いあわせも上々だという。実は今年7月、天皇皇后両陛下がハワイを訪問した際にも同社のリムジンを利用した。すでに日本市場でも知られた存在だが、今後ウェディング業界に向けてこのパーティーバスをアピールしていく考えだ。
また、「デザートプレゼンテーション」の演出が人気のヘブンリー・スイーツ・バイ・L.A.が、今年6月から本格的にハワイのウェディング業界に参入した。スイーツを使った演出は、アメリカ本土ではすでにパーティ会場やレセプションなどで採り入れられているが、ハワイではこの会社が1番乗り。“何か違うスタイルの演出を”というカップルに注目をされつつある。
「出会いの場がパリなので、パリをテーマに」「ブライダルメイドのドレスの色にあわせて演出して」「黄色一色でアレンジして」とテーマやリクエストもいろいろ。そのすべてをカップケーキ、ブラウニー、キャンディなどのスイーツとリボンなどで演出する。「最近は引き出物を好まない出席者も多く、その代わりに『最後に好きなスイーツを選んで持ち帰ってください』と声を掛けると、男性も喜んで参加する。こんなゲスト参加型のやり方も喜ばれている」と経営者のルアナ・アラパ氏。値段も手頃で、1人10米ドル前後からアレンジ可能だという。同社はハワイに進出して3ヶ月と日が浅いため、地元市場への浸透が最優先課題としながらも、日本市場に向けても今後のアプローチを検討しているという。
日本人向けのウェディングやパーティに現地のトレンドを応用するのは難しいかもしれないが、軽いアレンジをしたり、接客時にこれから挙式をするカップルの気分を盛り上げる話の一つとしても利用できるだろう。
クアロア牧場(オアフ島)