「JALわくわくアロハ計画2010」無料プログラム
JALグループでは、ハワイ線利用者を対象に、「JALわくわくアロハ計画2010」を実施している。その中心を担うのが無料体験プログラムだ。これは従来、期間限定でおこなっていたプログラムを通年での実施に拡充したもので、実施期間は2010年4月1日から2011年3月31日までの1年間。10月27日から11月1日に実施されたハワイ州観光局(HTJ)の研修ツアーでは、ツアー参加者がそれぞれプログラムを体験した。その模様をレポートする。
期間限定プログラムを通年実施に
JALグループでは現在、ハワイのよさや楽しさをあらためてアピールするためのキャンペーン「JALわくわくアロハ計画2010」を実施している。その核となっているのが無料体験プログラムだ。
これは、日本航空(JL)またはJALウェイズ(JO)の日本発ハワイ行き便利用者を対象にした無料のカルチャー体験プログラムで、2008年から期間限定で実施していたフラ体験プログラム「フラウィーク」、さらには2009年から提供してきた家族向けプログラムの好評を受けて今年4月から通年実施に拡充したもの。内容は、通年実施のモーニング・フラを除き1ヶ月から2ヶ月ごとに更新され、リボンレイ・メイキングやウクレレ・レッスン、モーニング・ヨガなど常時複数のプログラムが用意されている。対象者は1人2つまで先着順で参加できる仕組みだ。
日本航空インターナショナル(JLI)国際営業部路線販売グループ・マネジャーの遠坂剛氏によれば、こうしたプログラム設定のきっかけは、ハワイ需要の底上げだったという。「ハワイ旅行者の人数を伸ばすには、ハワイのファンになってもらうこと。そう考えたとき、有効な手段のひとつとしてあがったのがハワイのカルチャーを体験してもらうことだった」と語る。引き続きハワイ・ツーリズム・オーソリティ(HTA)やHTJの協力を得ての通年実施となった。
KCC朝市での食べ歩きからカイルア・ビーチへ
さて、実際にどのようなプログラムが実施されているのだろうか。まずは参加者の人気の高かったプログラムのひとつ、土曜の朝におこなわれるKCCファーマ―ズ・マーケットとカイルアの街を巡るツアーを紹介したい。
朝7時に団体用のバスでホテルを出発して、ダイヤモンド・ヘッドのふもと、カピオラニ・コミュニティ・カレッジ(KCC)の駐車場に設けられた会場へ。毎週土曜日の午前中に開催されるこの青空市には、地元で採れた野菜やフルーツ、ハワイ産のコーヒー、はちみつ、ジャムのほか、プレートランチなどが並び、近年は地元の人々だけでなく多くの観光客が訪れ、人気となっている。
この日も、開場前から大勢の人々で賑わい、人気のフライド・グリーン・トマトやジンジャー・エールなどの出店にはすでに行列もできているほど。普段はホテルなどに卸しているというベーカリーや農園などの出店もあり、この朝市でしか買えないものが多いのも魅力となっている。参加者は会場を巡り、お目当ての店でハワイならではの食べ物や土産物を買い、大いに食べ歩きを楽しんだ。
バスはこの後、景観の美しい島の東側をドライブしてカイルアの街へ。まず全米ベストビーチのランキングの常連であるカイルア・ビーチに到着した参加者たちは、その海と砂浜の美しさに歓声を上げる。写真撮影などをした後、カイルアの町の中心にあるカイルア・タウンセンターで一時解散、自由行動となり、人気のレストランでパンケーキやクレープを食したり、ショッピングを楽しんだりとオアフのローカルタウンの雰囲気を楽しんだ。ホテル帰着は12時。ラインナップの中では長めのプログラムだ。
リボンレイ・メイキングで達成感
参加者が予想外の達成感を得た様子だったのが、ワイキキビーチウォークのスタジオを会場に行われたリボンレイ・メイキングである。
リボンレイとは、本物の花のかわりにリボンやヤーン(毛糸)などを使ったレイのこと。レッスンでは、スタッフが用意した20米ドル相当の教材を参加者に無料で配布。地元出身の講師が、日本人スタッフのアシストを得ながら参加者に直接指導する。色とりどりの4本のリボンやヤーンを編み込んでいく作業に、参加者たちの表情はだんだん真剣に。講師や日本人スタッフに熱心に質問をする人、ひたすら手を動かす人など、それぞれの方法で熱中する。
本来はかぎ針を使って編み込むものだが、編み物の経験がない場合、レッスンにあてられた2時間で作り上げるのはやや困難。かぎ針での本格レイ作りをギブアップした人には、ストローを使った簡易版レイ・メイキングの方法を教えてくれる。この方法であれば、子供もお年寄りも、編み物の経験のない男性も30分から1時間もあればでき上がるので心配無用。しかも、簡易版といってもでき上がりはきれいなもので達成感を味わうには十分だ。終了時間には、かぎ針組、ストロー組双方とも、自分の作品を見せあうなどして大いに盛り上がった。
「ビーチで踊る貴重な機会」フラ・レッスン
1ヶ月から2ヶ月で更新される各種プログラムの中で、唯一通年で実施されているのが「モーニング・フラ」である。アウトリガー・リーフ・オン・ザ・ビーチ前のワイキキビーチでおこなわれるこのレッスンは人気が高く、朝7時から1時間という早朝の時間帯にもかかわらず、常に予約で一杯の状況が続いているとか。
参加者たちは、色とりどりの貸出用パウスカート(練習時に着用するスカート)をはき、海に向かって並ぶ。初心者を対象にしたものなので、講師の教える動きはシンプルで、教え方も丁寧。最初かたかった参加者たちの動きや表情は、波の音ややわらかな朝日のせいもあってか、時間の経過とともに少しずつほぐれ、終わる頃には、動きにも余裕が出てくるのが印象的だ。穏やかな笑みを浮かべて踊る姿は堂に入っていた。
毎年ハワイに来ているという1人の参加者は「フラのプログラムには3年続けて参加している」とのこと。また、九州でフラを習っているという女性は「初心者向けだが、ビーチで踊る機会はなかなかないので、とても気持ちよかった」と充実した表情で語ってくれた。
JALグループでは、プログラム参加者によるフォトコンテストもおこなっているが、「みなさん、とてもいい表情で写っていて、プログラムを楽しんでくれたことがわかる」と遠坂氏。プログラム参加者へのアンケート結果では、約3割の人が「わくわくアロハ計画」の参加を目当てにJL便利用商品に申し込んだと回答しているとのこと。「これだけの人のモチベーションになっているのであれば、プログラムは成功。ハワイのファンになって戻ってくれれば、当社便の利用の有無に関わらず目的達成と考えている」と語る。「非常に厳しい状況下、ハワイは再生のカギを握るデスティネーション」と位置づけるJALグループにとって、ハワイへの取り組みは、一般消費者のみならず業界内へのアピールの役割も果たしているようだ。
同社が想定する今年度の参加人数は1万5000人。好評を受け、来年も実施が決まっており、現在、予約がとりにくい人気のプログラムについては実施日を増やすなどして枠を広げるほか、ビッグ・アイランド(ハワイ島)、マウイ島のプログラムを加えるなど内容の充実もはかられる見込みだ。詳細は、2011年1月中旬にオフィシャルサイトで発表される予定。
なお、「JALわくわくアロハ計画2010」は、この無料プログラムを中心に、機内での新サービス、さらにはホノルル・マラソンやグレート・アロハ・ランといったスポーツイベントへの参加応援などもあわせたキャンペーンの総称。ハワイ行きの機内では、スリッパや汗拭きシートを配布するほか、できるだけ長く機内で睡眠をとってもらえるようにと、あらかじめ朝食用のベーグルを配るなどのサービスを実施している。
今週のハワイ50選
カイルア[カイルア・ビーチ](オアフ島)
ダイヤモンド・ヘッド(オアフ島)
ワイキキ(オアフ島)
取材協力:ハワイ州観光局(HTJ)、日本航空インターナショナル、
アウトリガー・エンタープライズ・グループ
取材:佐藤淳子