旅行業界におけるITソリューションの現状とその活用法 (5/5)

今後のオンラインビジネスの発展のための注意事項―篠田不二男氏

seminar_jata.jpg 誰もがこぞってオンラインビジネス展開を始める今、さまざまな問題が勃発していると指摘するのはJATAの篠田氏だ。

 実際にあったe取引による消費者トラブルの例によると、「事業者のホームページに掲載されている取引規約が一方的に変更されていた」「非常事態にもかかわらずメールのみでの対応しか受け付けない」、「主催者と仲介業者の立場があいまいで、不都合があった場合に責任の所在がわからない」といったケースが見られる。オンラインで店舗に出向かず気軽に取引ができる反面、トラブルがあった際の対応が不十分であるためe取引自体の信用を損なうことにもなりかねない事態となっている。

 そこでJATAと社団法人全国旅行業協会(ANTA)はe取引にまつわるトラブルを防ぎ、消費者の信頼を確保するために「e-TBT」マークの交付を開始した。これは「electric」「Travel」「Business」「Trust」の頭文字をとったもので、業務の一部もしくは全部をインターネットによるビジネス展開をしている業者の申請に基づき交付する。いわば、「安全マーク」のようなものだ。交付の基準や内容はJATAのサイト内で説明されているが、制度では苦情相談体制がとられおり盛り込まれており、このマークを冠した業者は利用者に対し、「取引条件の説明・契約の手順が正しい」といった、「安心」のアピールをすることができる。今はまだほとんど知られていないが、ゆくゆくはこのマークが信頼の証となるようにしたいという。