消費者の購買行動からみたオンライン旅行市場 (2/5)

1:認知・注意喚起、興味を引き起こす

 オンラインが興隆を極める以前は、テレビ、新聞、雑誌などを活用した企画特集や広告などが、消費者の注意喚起や興味を引き起こしていた。ところが現在は様々な「媒介」としてのメディアが存在し、あらゆるところで消費者との接触をはかろうとしている。

 博報堂が公表したメディア接触時間に関する定点調査によると、2009年はテレビ、新聞、雑誌、ラジオのマス4媒体、携帯・PCを含め、全体で24分増加した。これは巣ごもり消費などで手軽に余暇を過ごせるテレビが増加したほか、ツイッターをはじめソーシャル・メディアへのアクセスが携帯を中心に増えたことが理由としてあげられる。

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 しかし、消費者がインターネットとの接触時間を増やしつつあるなか、実は旅行への注意喚起や興味を積極的に駆り立てるサイトはまだ少ない。インターネットで興味・関心を掻き立てられるケースは、ニュース系のサイトの影響が大きいようだ。

 例えば最近では、格安航空会社(LCC)がテレビ、新聞、ネットなどで大きな話題となっている。9月21日にエア・アジアX(D7)が羽田就航の運賃を 5000円と設定したニュースは午後1時から配信開始され、18時過ぎから再び記事が数件配信されたが、これに連動するようにブログなどでも多くの「格安航空会社」の話題が発信されていた。

 ただし、ニュース報道は24時間後にはほぼ沈静化してしまった。また、いつどのタイミングでニュースが発信されるのかも定かではない。そのため、現在のオンライン旅行サイトは、ニュースのキーワードと連動するよりも、インタレストマッチなどのような興味関心連動型広告を活用している。

101013_ittokusyu_zuhyou4.jpg この状況を示唆するものが、インターネット広告を取り扱うバリューコマースの売上高の内訳だ。同社の売上高は増加基調にあるなか、旅行・ライフスタイルカテゴリの売上高が占めるシェアは高まっている。同社は個人のブログサイトへの広告掲載も取り扱っており、ニュースなどの情報サイトから個人のブログサイトまで、幅広い集客網を旅行業界側に広げていると考えられる。