オンライン旅行市場の現状と流通1 (2/4) 旅行サイトの分類と特徴
ここでオンライン市場における各社の役割、規模を把握しておこう。グーグルが提供するダブルクリック・アドプランナー( http://www.google.com/adplanner/ )を利用し、オンライン旅行市場における主要なサイトのリーチ、1人あたりページビュー(PV)数、総ページビュー数の3項目を指標とした図表2を参照したい。
オンライン販売では規模の経済が働きやすく、集客数の伸びが市場を支えている側面は否定できない。その一方、ニッチ市場を掘り起こし、顕在化させる効果もインターネットの特徴だ。こうした点を踏まえ、業態の特徴と消費者の購買行動の視点を重視して今回と次回に分けてその特性を概観したい。今回はオンライン旅行市場で展開する各社の業態を大きく3つにグループに分け、それぞれの特徴を見ていく。
1)オンライン専業群
楽天トラベル、じゃらん(リクルート運営)の2強と日本で最大のアクセス数を持つヤフーのヤフートラベルがこのカテゴリに入り、オンライン旅行市場のなかで大きな規模を誇る。これらのサイトは認知と集客力を兼ね備えている。特にユーザー規模からすると、日本のオンライン旅行サイトはじゃらんと楽天トラベルの2サイトがユーザーの認知度が抜きん出て高く、掲載する旅行商品や宿泊施設数が多い。口コミも豊富に蓄積し、価格と内容を比較、検討して単一のサイト内で予約まで済ますことが可能だ。
じゃらんを例にユーザーの動きを想定してみたい。1人あたり概算PV数は37.37PV。予約までの導線をサイトのトップページからみると約5PV、検索サイトからの流入であれば3PVほど。おおよそ1人の閲覧者が5軒の施設、口コミを閲覧して検討している、といった姿が浮かんできそうだ。旅行コンテンツの充実が口コミを増やし、旅行商品の比較検討がしやすくなる規模の経済がいかされていることが、強みだろう。
この3社に対抗できる可能性があると想定される一番手も、オンライン専業の一休だろう。ただし、1人あたりPV数(図表2のグラフの横軸)はじゃらんや楽天トラベルに引けをとらないが、認知度は低い。これは一休が「高級宿泊施設」というニーズを見出し、その分野に特化して規模を拡大したことにも由来する。特定の分野やターゲットの潜在化していたニーズを引き出し、差別化することで固定客を獲得してきた。その一休は今夏、テレビCM を展開しており、認知度の向上やユーザー数の拡大に取り組んでいる。その点で今後のユーザー数の伸びが注目される。