オンライン旅行市場の現状と流通1 (3/4) 旅行サイトの分類と特徴
( 2010年10月14日 )
2)旅行会社(リアルとオンライン併用)群
オンライン専業に続いて認知度を獲得しているのは、リアル店舗を展開する大手旅行会社だ。なかでも、JTB、HISは一足抜きん出ている。やはり知名度の高さが結果を左右しているといえる。また、低価格帯から添乗員付きまで幅広い商品ラインアップを各オンライン・メディアサイトに提供し、集客に努めている。これらに続くのがKNT、阪急。これらの大手旅行会社は前述の通り、オンライン取扱のシェア拡大に努めている。
注目したいのは、以上の旅行会社よりも総取扱額で下回るクラブツーリズムやてるみくらぶ、ゆこゆこが独自のポジションを築いていること。この3社は顧客基盤が、上位の総合旅行会社と大きく異なる。クラブツーリズムがシニア層を中心とした国内外のツアー、てるみくらぶはハワイ・グアムなどリゾートを中心に海外旅行を割安感ある価格で提供し、ゆこゆこが温泉や旅館を中心に自社発行の雑誌とあわせ、告知と予約の利便性を強みとしている。
クラブツーリズムとゆこゆこが高年齢層に訴求している点で、50代以上のオンライン利用を顕在化している点は見逃せないだろう。また、てるみくらぶは価格訴求が目に付くものの、ホテル指定無しの低価格から高価格帯のホテルまでラインアップを揃え、アイキャッチからのアップセルをねらっている点は着目したい。いずれも顧客対象を絞り、オンラインでのポジショニングの確立をめざしている戦略だ。
一方、KNTや阪急交通社など、大手総合旅行会社が、今後のオンライン政策でどのようなポジションへ遷移していくか、注視したいところだ。