ITソリューションの有効活用(5) (2/3)
位置情報サービスが旅のコンシェルジェサービスになる
2007年頃から携帯端末にGPS機能が搭載され、位置情報は一般的なものになりつつある。車のカーナビがポピュラーになり、ドライブすることが楽しくなって車で外出するモチベーションの向上に寄与したように、同じことが旅行における位置情報サービスで実現している。
例えば、出張先などで急な宿泊を探す場合、ユーザーは検索サイトを訪れ、いくつもの条件を入れて空き室を探していた。それが位置情報を活用することで、「今いる場所に近い、宿泊可能なホテル」を地図上に表示させることが可能となる。さらに「今いる場所」からそのホテルまでのルートを表示させるなど、最終的に検索から予約、ホテルへのアクセス案内まで可能とする、非常に使い勝手のよいサービスが増えているのだ。
すでに、これらのサービスはスマートフォンのアプリなどで多く見つけられる。楽天トラベルや一休などがこのようなサービスを提供している。ユーザーとしては、検索するのに地方や都道府県などのエリア情報をいくつも入れる必要がなく、操作感は大きく向上した。今いる場所と周辺の情報が地図上に表示される。
また、全日空(NH)の旅達アプリでは現在地情報をGPSで取得し、その地点付近のクチコミ情報を提供してガイドブックのような役割で旅行の楽しさにつなげている。このほかにも地球の歩き方アプリの「パリAR2010」では、現在地から近隣の観光地情報を紹介するだけでなく、AR(拡張現実)機能によりディスプレイを通して観光地情報が見られるサービスを展開。ユーザーの現地での行動を手助けしている。
このような位置情報を使ったサービスにより、ユーザーが受ける恩恵は多い。今まで旅先で興味のあるレストランがあっても、詳細なルートが分からずに断念することもあっただろう。しかし、現在地から店舗までのナビゲーションにより、行きたいところに行けるようになる。それはまるで旅のコンシェルジュサービスのように、ユーザーの行動を手助けしてくれる。
さらに、観光情報や移動時間の精度があがることで、時間を有効活用できるという利点もある。観光付きパッケージツアーのフリータイムが、「1時間では短い」という不満から「1時間でたっぷり楽しめた」という満足に変わる可能性もあるのだ。現地でスムーズに行動し、時間を有効活用できたならユーザーの満足度は上がるだろう。もちろん、そのような満足した感情や楽しさをSNSで発信することも多いはずだ。
旅行に満足してもらうことができれば、リピートに繋がることも十分に考えられる。このような旅行者が喜ぶサービスの提供から満足度の向上をはかることについて、もっと力を入れてもいいのではないだろうか。