オンライン旅行市場の現状と流通1 (1/4) オンライン旅行市場の規模
いまや国内旅行取扱額でジェイティービー(JTB)、近畿日本ツーリスト(KNT)、日本旅行に続くのは、オンライン専業の楽天トラベルだ。これは、楽天トラベルの前身で、オンライン旅行サイトの先駆けであった宿泊予約サイト「旅の窓口」が開設されてから15年間で、オンライン販売が国内旅行市場で欠かすことのできない販路になったことのあらわれだ。この間、さまざまなITが誕生し、情報システムやITソリューションを駆使することで、旅行ビジネスは多様に広がっている。そこでまずは日本における現在のオンライン旅行市場の動向をおさえ、今後の展望を探る。
>オンライン旅行市場の規模
>旅行サイトの分類と特徴 1)オンライン専業群
>旅行サイトの分類と特徴 2)旅行会社(リアルとオンライン併用)群
>旅行サイトの分類と特徴 3)旅行オンラインメディア群
オンライン旅行市場の規模
財団法人日本交通公社が推計する2008年の旅行市場の取引額は7兆円強。対して、経済産業省によると旅行に関連するオンライン販売額はすでに1兆円を超えると推計されている。航空会社などが直販する取引額を含むため、オンラインによる旅行会社の市場規模は分からないが、約14%にのぼる。2009年は景気悪化や新型インフルエンザにより低迷したが、オンライン市場は伸びに底堅さが目立った。(図表1)
さらに、旅行会社の断片的な情報をかいつまむと、阪急交通社は2008年度にオンラインで72万人の集客、取扱額は約438億円で総取扱額の12%。海外ホテルを主力商品とするオクトパストラベルは「2002年の5000万円から毎年20%増で成長」しており、2009年は約1億8000万円、7年間で約3.6倍の売上高に成長したと推計される。旅行業界で最大手のJTBは2009年度の宿泊券販売額の16.6%、ネット事業全体では906億円をオンラインで販売しており、2014年度までに2000億円に増やす目標をたてている。
ただし、オンライン販売に取り組んだ業者が、すべて順調に推移してきたわけではない。 2002年6月にサービスを開始し、間際の商品を扱ったラストミニット・ドット・コム(日本法人)は2006年9月に約4年間の運営で閉鎖。海外旅行を専門とした予約サイトのタビニは、2002年3月からサイトを運営していたが2005年8月にサイトを閉鎖し、会社を解散した。最近では、ダイナミックパッケージの先がけのグローバルトラベルオンラインが2008年3月に比較.comに買収された。予約.comの名称で運営が継続されているが、2010年6 月期決算のオンライントラベル事業の営業損失は3141万7000円で、2期連続赤字となっている。舵取りの難しさもオンライン市場を取り巻く現実だ。