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インタビュー:日本旅行MICE営業部 部長 石垣隆久氏

MICE成功のキーワード(1)
専門部署スタートでMICE営業を集中強化、プロ育成をめざす

mice0414_inv01.jpg 日本旅行は今年3月1日、本社直轄のMICE専門部署として「MICE営業部」を立ち上げた。これまでMICEに関する営業は、首都圏の支店を取りまとめる「ソリューション営業本部」の広域営業チームが担っていたが、このチームを本社組織に移管することで、今後は全国展開を強化する。MICE営業部部長には、東京南支店支店長としてMICE営業に携わってきた石垣隆久氏が就任。顧客と直に接して現場感覚を養ってきたという同氏に、MICE営業部における方針を聞いた。


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Q.MICE営業部を立ち上げたねらいを教えてください

 営業部新設の1つ目のねらいは、「MICE分野の集中的な強化」。昨今は不況のため、団体需要の減少が続いており、マーケットの競争が激化しています。その中でMICE分野は比較的現状を維持できているものの、大幅な拡大には至っていません。これまで、MICEに関する明確な取り組みがなされてこなかったためでしょう。今後はMICEに絞った営業展開が必要です。

 2つ目のねらいは、地方の支店がそれぞれ展開していた営業を本社管轄にまとめることで、「顧客を全国、広域的につなげていく」こと。各地で開催する全国的なイベントの場合、そのイベントを受注した営業担当者が地方の単体の営業部に属していると、支店同士で十分な連携が取れず、次の年に別の地方で開催される際に受注できないケースも発生します。1回目の開催で満足していただいた成功例を今後も継続的につなげていくために、地方と地方の線を太くすることが、MICE営業部の役割となります。


Q.現在のMICEマーケットをどう捉えていますか

mice0414_inv021.jpg  旅行業界全体として、コミッションビジネスからフィービジネスへの転換の流れがあります。MICEにしても、輸送や宿泊の手配だけにとどまらない、イベントそのものを取り仕切る形への変換点にあるでしょう。MICEといってもその解釈の幅は広い。以前は単に温泉へ行くだけといった慰安目的の旅行が多かったのですが、最近では、企業に対する社員の帰属意識を高めるためのチームビルディングやミーティング、研修など多彩な要素が生じています。

 MICE営業部としては、支店のように単年度予算を掲げて動くのではなく、5年ほど先を見据えた中長期的な戦略が重要です。また、顧客が首都圏に集中しているため、地方の支店ではMICEに関する意識が希薄な傾向も否めません。今後は支店から地方の顧客への積極的な情報発信に努める方針です。


Q.アウトバウンドのMICEについてはどのように考えていますか

 企業の世界大会や海外でのインセンティブツアーなどは現状、アジア方面の需要が高い傾向にありますが、コンベンション施設が整っている国はほかにもたくさんあります。地域にはこだわらず、新たなデスティネーションを発掘していきたいですね。

 イベント分野においては国内外の取り扱いを基本としていますが、現状での需要は国内イベントが大半を占めています。そのなかで、学会や大会などのイベント・コンベンション、各自治体が運営権を持った「ロイヤルイベント」については全国に強化支店を設置し、海外からの旅客が加わるイベントでは、国際旅行部とも連携して進める計画です。


Q.MICE営業における「成功のキーワード」とは

mice0414_inv031.jpg MICE営業の展望を開く最も重要な鍵は、「若手の育成」ではないでしょうか。配属されたての社員にとって、企業・参加者のビジネスと直結しているMICEは、慰安型旅行の営業よりハードルが高く感じられるもの。そこから、MICE分野に踏み込んでいけるように目標を掲げさせ、2年間ほどかけて教育していきます。若い社員がいかにMICEマーケットに精通し、営業成果につなげていけるかがポイント。若手社員の成長のモチベーションを高めるためにも、MICE知識の習得を目標の一つの基準にしたいですね。

 現在、旅行会社は単なる手配代行の会社ではなく、特化した専門性が求められています。MICEに関する多方面の資格取得なども視野に入れ、MICE部門のプロフェッショナルを育てていくつもりです。


Q.東京南支店長時代の2006年と今年、NHK教育テレビの番組『あしたをつかめ』に出演されていますね

 この番組は就職を控えた若年層の視聴者を対象にしたもので、毎回さまざまな業界で一人の若手社員の仕事を追っています。そのうち旅行業界を紹介する回で、2006年当時25歳だった当社社員に対し、現場での具体的な提案方法を指導する様子を取材されました。この録画ビデオは、今でも当社の新入社員研修で利用されているようです。

 当社の強みは法人セールスです。首都圏は大規模な企業が多く、若手社員にはなかなか中枢のキーマンまで辿りつけないなどの悩みもあります。しかし、社員が育たないと受注にも結びつきません。MICE営業部では、人材育成が要になると考えています。


ありがとうございました。