囚人遺跡群
タスマニア州、ニューサウスウェールズ州、西オーストラリア州、ノーフォーク島に点在する囚人遺跡群は、1788年から1868年の英国流刑の歴史を伝承する貴重な遺跡として、計11か所の囚人遺跡が2010年7月に文化遺産に登録された。なかでも、タスマニアの「ポート・アーサー史跡」や「ブリッケンドンとウールマーズ・エステート」、シドニーの「ハイドパーク・バラックス」、西オーストラリアの「旧フリーマントル刑務所」は、街の中心部に位置するユニークな世界遺産として観光客に人気の観光スポットとなっている。文化遺産に登録された遺跡群11カ所は下記の通り。
■ タスマン半島 ポート・アーサー史跡 (タスマニア州)
1830年代に流刑場として開設。60棟もの建物が連なる絵画のような美しい風景と監獄の恐ろしさを物語る風景が織りなす景観美は、旅人を魅了してやまず、タスマニアで最も人気の高い観光地のひとつとなっている。■ タスマン半島 炭鉱史跡 (タスマニア州)
炭鉱史跡は、流刑時代に地域資源開発を目的に労働力として利用された囚人の実態が浮き彫りにされた遺跡。すり鉢状のくぼ地に変形した坑道や湿って暗い18の代用独房は、オーストラリアの流刑史の容赦ない厳しさを今に伝えている。■ サウス・ホバート カスケーズ女子工場 (タスマニア州)
女性囚人の更生を目的として設立された女性専用の収容施設。自給自足で生活していた囚人は、洗濯や裁縫で労働しながら受刑にかかる費用の一部をまかなった。■ マリア島 ダーリントン保護観察所 (タスマニア州)
タスマニア東沿岸沖のマリア島に位置し、島の流刑史やタスマニア独自の保護観察制度の一端を知ることができる。■ ロングフォード ブリッケンドンとウールマーズ・エステート(タスマニア州)
私有農場となっており、農業に従事するため送り込まれた一部の囚人たちは、この地でタスマニアの牧畜産業の発展に大きく貢献した。■ シドニー ハイドパーク・バラックス (ニューサウスウェールズ州)
オーストラリア政府によって設立された初の収容所。マッコーリー総督時代の囚人管理を伝える遺跡としては、現存する唯一の建築物となっており、現在は博物館として一般公開されている。
■ パラマッタ 旧総督官邸 (ニューサウスウェールズ州)
オーストラリア最古、そして原形を留めている総督の住居で1788年から1856年まで、ニューサウスウェールズの傑出した総督12人の住居兼執務室だった。
■ シドニー湾 コッカトゥー島 (ニューサウスウェールズ州)
オーストラリアで唯一、囚人たちの手によって建設された乾ドック(船舶の製造や修理を行う設備)。当時の囚人たちが管理・監禁されていた状況や労働環境を物語る建造物や骨組みを見ることができる。
■ ワイズマンズ・フェリー近郊 オールドグレートノース・ロード (ニューサウスウェールズ州)
オールドグレートノース・ロードは、囚人の労働力を利用して開発された主要な公共インフラの例として、国の重要な遺跡となっている。
■ フリーマントル 旧フリーマントル刑務所(西オーストラリア州)
小さな丘の上にあるユニークな遺跡で、オーストラリア建国時に貢献した囚人たちの功績を知ることができる。
■ ノーフォーク島 キングストンとアーサーズ・ベール史跡地区
ノーフォーク島に位置する国の重要史跡。オーストラリア東部へ囚人が移送された1788年から1855年にかけての囚人定住の経緯を知ることができる。
タスマニア州、ニューサウスウェールズ州、西オーストラリア州、ノーフォーク島に点在する計11か所。
通年
文化遺産