スペイン植民地時代のメキシコで、それまで不毛の地であった中央高原地帯で銀鉱脈が見つかったことから、グアナファト、タスコ、サカテカスなど、鉱山の町が続々と誕生しました。銀の採掘で莫大な富を得た鉱山の所有者は、教会建設に資金を投入、そのためバロック調の華麗な装飾を施したコロニアル建築の建物が今も数多く残されています。
かつて銀の輸送ルートとなった、これらの町を結ぶルートは“銀の道”と呼ばれ、メキシコシティを起点に趣きあるコロニアルシティを巡る観光ルートとなっています。
また、メキシコシティとその周辺には7、中央高原北西部には10、オアハカには2つの世界遺産があり、銀の道の旅は世界遺産を訪ねる旅でもあります。
1546年に銀鉱脈が発見された、かつての鉱山の町。ラ・コンパニーア聖堂やサンディエゴ教会など、往時の繁栄を偲ばせる建造物が残されています。独立戦争の英雄ピピラの像が建つ小高い丘までケーブルカーで上ると、谷間に広がる美しい街並みが一望できます。
銀鉱山の町サカテカスからメキシコシティへ銀を輸送する中継地として発展し、教区教会のゴシック様式の尖塔が町のランドマーク。独立戦争で名を馳せたイグナシオ・アジェンデの生家は歴史博物館となっています。芸術家が暮らすアートの町でもあり、ギャラリーやショップ巡りも楽しめます。
ケレタロ州の州都。フランシスコ会の布教活動の拠点が置かれていたことから、市内の歴史地区にはバロックの祭壇で知られるサンタ・ロサ・デ・ビテルボや、サンタ・クララ聖堂など、20以上の教会の建物が残されています。また、石造りの水道橋は町のシンボルの1つとなっています。
ハリスコ州の州都でメキシコ第2の都市。3大壁画家の1人で同市出身のオロスコが描いた壁画や天井画が見られるカバーニャス孤児院(現カバーニャス文化センター)、州庁舎、カテドラルなどの建造物や、賑やかなリベルタ市場などがあります。また、近郊のトラケパケはマリアッチの発祥地として知られます。
赤い屋根に白壁の家が軒を連ねる絵になる街並みで有名。町の中心には銀で財を成したフランス人ホセ・デ・ラ・ボルダが建造したサンタ・ブリスカ教会があり、バロックの傑作といわれています。タスコは銀細工の町でもあり、銀の装飾品は名産となっています。
メキシコ第4の都市プエブラは、かつてメキシコ湾岸の港町ベラクルスとメキシコシティを結ぶ要衝として栄えました。旧市街にはカテドラルやサント・ドミンゴ教会、砂糖菓子の家など、コロニアル調の建物が数多く残されています。タラベラ焼きの陶器やチョコレートソースを使ったモーレ料理の発祥地でもあります。
オアハカ州の州都で、先住民族が多く暮らすことから、先住文化の宝庫となっています。カテドラルやサント・ドミンゴ教会などの歴史的な建造物に加え、近郊には古都遺跡モンテ・アルバンやミトラの遺跡もあります。毎年7月に開催される「ゲラゲッツァ祭」は民族の祭典として有名です。